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まさかの北朝鮮も? 海外不動産のプロが狙う「次のフロンティア」新興国投資(完)=俣野成敏

【先進国が停滞する中で、新興国は成長し続けられるのか?】

俣野:それでは、今週もよろしくお願いします。皆さんにご協力いただいたおかげで、読者の方に良い内容をお届けすることができ、大変感謝しています。

ここまでの2週で、著しく成長しているフィリピンの現状や可能性などをお話してきました。その一方で、日本や先進国の現状を見てみますと、景気自体は悪くないにもかかわらず、賃金が増えずに手詰まり感があるような気もします。
※参考:好景気でも増えぬ賃金 先進国、広がる停滞 – 日本経済新聞

かつて、日本の成長期はちょうど世界も成長していた時期に当たっており、今とは状況が違うようにも思います。そうした環境が、新興国に与える影響についてどう思われますか? 世界が停滞している中でも、新興国は成長し続けられるものなのでしょうか?

DT:確かに、日本経済の成長期は、第二次世界大戦後の復興期と重なっていました。だからと言って、世界中がいつでも好景気に湧いていたのかと言えば、そういうワケではなかったと思いますよ。大戦終結直後から、冷戦という名の新たな戦争が始まり、オイルショック金本位制の崩壊中東戦争など、世界は常に混乱と収束を繰り返してきました。

戦前の東南アジアでは、長い植民地時代が続き、戦後はベトナムとインドネシアで独立戦争が勃発しました。資本主義陣営と社会主義陣営との戦いがここでも繰り広げられ、1976年にはベトナム社会主義共和国が誕生、カンボジアとラオスがこれに続きました。そうならなかった国でも、多様性に富んだ東南アジアではさまざまな問題が噴出し、混乱が続きました。

フィリピンに関して言うと、16世紀から始まったスペインの支配が400年近くも続いたため、大土地所有の風習が今も残っており、強固な既得層を形成しています。前出のマルコス氏の時代には権力の集中が行われ、強力なリーダーシップのもとに、既得権の切り崩しと国内の工業化が図られましたがうまくいかず、逆に氏の力にすがる新たな既得層が形成されました。

やがて独裁による弊害が強くなり、エドゥサ革命によってマルコス氏は退陣しました。しかし、コラソン・アキノ氏に始まる民主化もなかなか軌道に乗らず、国力は停滞を続けました。もともと、フィリピンは群島国家のため、植民地になる前は主たる統一国家を持たず、国としてまとまる機運に欠けていたところがありました。

長年にわたって、フィリピンでは国益の多くが国民に行き渡らず、汚職や腐敗が蔓延し、貧富の格差が犯罪を助長してきました。しかしここへきて、ようやく経済力向上のための努力が実を結びつつあります

俣野:混乱と収束を繰り返しながらも、「歩みを止めない限り前進できる」ということですね。

DT:現状では、強権的なドゥテルテ氏を「マルコス氏の再来」と牽制する見方も少なくはありません。依然、未知数の部分があるのも確かです。けれど、一市長に過ぎなかったドゥテルテ氏が、並み居るベテラン議員を破って大統領に当選したのは、「硬直化したフィリピン社会を変えて欲しい」という、国民の願いが託された結果だとも言えるのではないでしょうか。

Next: 「北朝鮮」という次のフロンティア。ポストダバオを求めて

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