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売国と亡国のサンバ、またはリベラルの移民反対論=佐藤健志

2月11日に東京新聞が配信した記事「この国のかたち 3人の論者に聞く」に出ていた
社会学者・上野千鶴子さんの発言。
上野さん、日本の人口は今後増えないと前提したうえで、こう述べました。
いわく。

日本はこの先どうするのか。
移民を入れて活力ある社会をつくる一方、社会的不公正と抑圧と治安悪化に苦しむ国にするのか、
難民を含めて外国人に門戸を閉ざし、このままゆっくり衰退していくのか。
どちらかを選ぶ分岐点に立たされています。

移民政策について言うと、私は客観的に無理、主観的にはやめた方がいいと思っています。

客観的には、日本は労働開国にかじを切ろうとしたさなかに世界的な排外主義の波にぶつかってしまった。
大量の移民の受け入れなど不可能です。

主観的な観測としては、移民は日本にとってツケが大き過ぎる
トランプ米大統領は「アメリカ・ファースト」と言いましたが、日本は「ニッポン・オンリー」の国。
単一民族神話が信じられてきた。
日本人は多文化共生に耐えられないでしょう。

だとしたら、日本は人口減少と衰退を引き受けるべきです。
平和に衰退していく社会のモデルになればいい
http://www.tokyo-np.co.jp/article/culture/hiroba/CK2017021102000006.html

「移民を入れないかぎり繁栄が維持できない」ことを
自明であるかのように見なしている
点に関して言えば、
上野さんの議論に説得力はありません

生産年齢人口が減少しようが、その影響を上回る生産性向上が達成されるかぎり
経済は拡大しうるからです。

また社会が衰退するとは、国民の貧困化が進むことを意味する。
そんな状態のもとでも、平和や治安が維持できるというのは本当か?!

安全保障やインフラ整備だって、できなくなってゆくのですぞ。
中国が経済と軍事の両方で、成長・拡大を続けたらどうするのか。
ひたすらアメリカにすがって国の存立を確保する?
その場合、同国への従属が深まるのは目に見えています。

はたせるかな、三橋貴明さんは2月14日のブログで上野さんの発言を取り上げ、
「『犯罪的』と断言したくなるほどに罪深い」
「よくもまあ、この手のことを平気で口に出せるものです。恥知らず」
と厳しく批判しました。

日本は「平和に衰退していく社会のモデル」になればいいという上野さんの結論は
要するに緩やかな亡国の肯定
ですから、三橋さんの批判はもっとも。

し・か・し。

移民受け入れに関する上野さんの主張はどうか。
論点を整理すれば、以下のようになるのですぞ。

1)移民を受け入れると、社会的不公正・抑圧・治安悪化がひどくなる。

2)世界的に移民受け入れを制限しようとする風潮が高まっているときに、日本が移民をどんどん増やすなど無理。

3)文化的な単一性の高い日本のような国は、移民の流入がもたらす影響に耐えられない。
  すなわち移民受け入れは、日本の伝統や社会的基盤を破壊する。

上野さんと言えば「左翼・リベラル」のイメージが強いものの、
これは真正なる保守主義の発想に基づいた堂々たる正論です。

裏を返せば、
移民政策をそうと正しく見抜かれないよう・・・
もとへ、誤解されないよう配慮しつつ推進している現政権は
グローバリズムの名のもと、
〈社会的不公正・抑圧・治安悪化をひどくするうえ、日本の伝統や社会的基盤まで破壊する売国的政策〉に
血道を上げていることになる。

まさに「右の売国」ですが、
厄介なのはこの点をみごとに誤解・・・
もとへ、正しく見抜いた上野さんの結論が
緩やかな亡国の肯定になってしまうこと。

さしずめ、売国と亡国のサンバ。
だから、『右の売国、左の亡国』だと言うのです。

何らかの形で「日本否定」に走ってしまうことにかけて、保守と左翼・リベラルの間に、今や違いはないのですよ!
ではでは♪

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三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年3月1日号より

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