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介護をすれば報われる? 長男の嫁など相続権がない人も財産請求が可能に=山田和美

民法改正で新しい相続ルールの創設が検討されています。相続人ではない長男の嫁などでも、介護などで一定の貢献すれば、相続財産の一部を受け取れるという内容です。(『こころをつなぐ、相続のハナシ』山田和美)

プロフィール:山田和美(やまだかずみ)
1986年愛知県稲沢市生まれ。行政書士、なごみ行政書士事務所所長。大学では心理学を学び、在学中に行政書士、ファイナンシャルプランナー、個人情報保護士等の資格を取得。名古屋市内のコンサルファームに入社し、相続手続の綜合コンサルに従事。その後事業承継コンサルタント・経営計画策定サポートの部署を経て、2014年愛知県一宮市にてなごみ行政書士事務所を開業。

介護サービスに支払うべきお金が浮いている。その分を請求可能に

長男の嫁や甥・姪などにも財産を残せるようになる

相続のルールを定めている民法の改正により、次のような規定が創設されようとしています。少し長いですが、まずはそのまま記載します。

被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者、相続人の欠格事由に該当する者及び廃除された者を除く。以下「特別寄与者」という)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭の支払を請求することができる

今回はこれについて解説していきます。

例えば長男の嫁や、子がいる場合の甥・姪などは、相続人ではありません。そのため、これらの人が仮に熱心に介護をしてくれたり家業に貢献してくれたりしても、相続で財産を渡すことはできませんでした

そのため、仮に長男の嫁だけがずっと被相続人の介護をしていて、本来の相続人は一切介護をせず、本来ならヘルパーさん等に支払うべきお金がその分浮いていたり、無償で事業を手伝っていたことで被相続人の財産が増えることに貢献したり…等の事情があったとしても、被相続人が亡くなってしまった後では、相続で財産をもらう権利もなければ、何の請求をする権利も無かったのです。

そこで今回の改正です。

この制度ができれば、たとえ相続人ではなかったとしても、一定の貢献を条件として、相続財産の一部を受け取れる可能性ができる。と、こういうことです。

単に介護をしただけでは、財産をもらうのは難しい

しかし、仮に制度ができたとしても、財産を受け取るためには、相続人の合意が原則であることを忘れてはなりません。

相続人の合意が得られない場合には裁判所への請求ができますが、よほど裁判所に慣れ親しんでいるような事情のない限り、裁判所に請求をすること自体、心理的な負担は大きいでしょう。

また、請求した結果認められた額が心情的に納得のいく金額になる保証もありません。さらに、そもそも法律で言う所の「寄与」は意外とハードルが高いため、単に介護をしただけでは認められない可能性もあるのです。

Next: 確実に介護をしてくれた人に遺産を渡す方法は?

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