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株主優待ファンの必須知識!カゴメ<2811>にみる、外国人「不人気」銘柄の強み・弱みとは?=若林利明

カゴメと言えば、『野菜生活』や『カゴメトマトジュース』などの人気商品を年2回もらえることから安定した人気を誇る優待銘柄のひとつ。19万名を超える株主を「ファン株主」と呼び、個人投資家向けIRに力を入れている企業です。

そんなカゴメの株価を分析すると、外国人に「不人気」な優待銘柄ならではの強みと弱みが見えてきました。優待銘柄を買う上での必須知識を、元日本株ファンドマネージャーの若林利明氏が解説します。

低迷相場で本領を発揮したカゴメの株価、値動きの背景をさぐる

東証1部上場銘柄の外国人投資家の保有株比率は31%を超えておりますが、中には極端に比率の低い銘柄があります。カゴメ<2811>もその一つです。なんと2.8%しかありません。

ここでは、その理由について外国人投資家中心の株価形成が行われる東京市場の中での位置づけをしてみます。過去の株価の動きにヒントが隠されております。

日経平均とカゴメの半期末株価の推移 2007.12~2015.6(2007.12=1)

日経平均とカゴメの半期末株価の推移 2007.12~2015.6(2007.12=1)

2007年12月末の株価を1とし半年ごとの月末株価をプロットしました。なおこの間のEPSの推移は以下の通りです。

カゴメのEPSの推移 2008年3月期~2016年3月期(予想)

カゴメのEPSの推移 2008年3月期~2016年3月期(予想)

外国人投資家は優待が嬉しくない!

外国人投資家に不人気な理由は、基本的に成長企業ではないことです。利益の動きがそれを証明しております。

従来からカゴメが注目されるのは株主優待(ギフト)に市場が着目するときですが、外国人投資家にとって優待は関係ありません。むしろそのような株主還元の方法があるなら現金配当を増加せよ、との要望が強いのが現実です。

そうした特殊な理由も加わり株価形成に外国人投資家の参加が殆ど見られない企業としての株価が形成されてきました。

2007年から2012年まで、東京市場は円高期でもあり業績不振を背景に低迷します。とくに2008年にはリーマン・ショックもあり2007年レベルと比較して大幅に下落、その後、低迷相場が4年ほど続くのです。

そして、この間がカゴメの株価の特徴が発揮される時期となっております。利益水準(EPS)は上に示したように結構アップダウンしておりますが、これに全く関係ないような株価の動きです。

当時現金配当は年15円、1000株以上保有の株主へ株主優待として3000円程度の自社製品詰め合わせを年2回提供しています。これは一部投資家には根強い魅力になっていたようです。

利益の伸びから成長のイメージが持てない当社が外国人投資家に積極的に評価される要素はありません。半面、買われていない事は必然的に売られないことでもあります。

市場全体の軟化があっても優待ファンが下げには買いを入れることもあり結局は株価は下がることなしに市場の低迷期を乗り切ったようです。

つまり、日本人投資家が積極的に売らなければ株価は下がりようもありません。こうして、株主保有主体の内容と優待が背景となりPERとは関係ないところで株価が形成され維持されてきたのです

外国人が好まない「優待銘柄」ならではの強み・弱みとは?

2012年末、アベノミクスにより東京市場は覚醒しますが、カゴメはその後の市場の動きについて行けません。利益は多少水準が高くなるものの、PERで買われるような銘柄ではないので、外国人買いが入りません。

市場全体に押し上げられるように若干の上昇を示しますが、買い進まれるような動きではありません。

最終的に直近2015年6月までの7年半の推移をみると株価の上昇率は22%となっております。その間、日経平均は34%上昇しておりますから、全期間を通じて見た場合、市場平均には負けていることになります。

中身的にみると、市場全体が軟調な期間、ほぼ横ばいで推移、下値不安の少ない防衛的役割をする銘柄として評価されます。

その後は逆に市場が好調な期間、出遅れて市場について行けない銘柄として位置づけられることになっているのです。

この動きがまさしくカゴメの株価の特徴です。2007年当時の株価は1500円前後、15円の配当は1%の利回りです。また優待のギフトを年2回分3000円×2=6000円分として捉えれば、配当プラス優待で1,000株当たり21、000円となり、利回りでは1.4%となります。

銀行の定期預金の金利以上であれば、問題なしとする個人投資家であれば十分保有に値するものであったことになります。

“超”日本的解釈とも言えるのですが、その種の銘柄を網羅した本が市販されているほどです。その後、株価の上昇に伴い利回りの割安性が強まったことへの配慮もあったのか、配当も少しずつ引き上げられ現在は22円となっております。

カゴメ<2811> 月足(SBI証券提供)

カゴメ<2811> 月足(SBI証券提供)

利益の水準(EPS:40円強)からして2000円近辺の株価はPER(株価収益率)で25倍と市場平均を大幅に上回っております。外国人が極端に売却する地合いでも当然保有株が殆どないわけですので、売りの対象からは大きく外れます。それだけに上がらないまでも防衛的銘柄として機能する可能性が高いと言えます

筆者プロフィール:若林利明
外資系機関投資家を中心に日本株のファンドマネージャーを歴任。現在は創価女子短期大学非常勤講師、NPO法人日本個人投資家協会協議会委員。世界の株式市場における東京市場の位置づけ、そこで大きな影響力を行使する外国人投資家の投資動向に精通する。著書:「資産運用のセンスのみがき方」(近代セールス社)など。

投資の視点』(2015年8月6日号)より一部抜粋

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