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「独中連盟」は妄想だろうか?中国に“最敬礼”したドイツ株式市場の下落=山崎和邦

人民元の切り下げショックで、世界中で一番下がったのはドイツ株だった。それはそうであろう。ドイツは対中貿易が一番大きい。中国の行く末にドイツ株式市場は敬意を表したのだ。(山崎和邦)

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中国問題は金融市場ではなく実体経済こそが焦点となる

習金平は毎夜、寝る場所を変えているという。独裁者が一番恐れるのは暗殺である。護衛が2万人居ると言われている。政治通の友人ジャーナリストに聞いた話だ。

筆者は“暗殺成功”に賭けている。超大国の指導者の暗殺に賭けるとは不謹慎と言われるだろうが、書いてしまったので消さないでおく。

ところで中国経済の減速は想定を超すだろう。かの国の公表数値そのものがアテにならないからだ。IMFもOECDも世界一正確と認める日本の公表数値とは違うから、筆者は元来中国の経済を信用していなかった。

15年前、「BRICs」と言われ出した頃、筆者はBRIS(sは複数のそれではなく南アフリカ共和国のSと解して)5ヶ国のそれぞれを回り、投信をそれぞれ買って4割位利食いして全部売った(そのあと2倍になった)が、C(中国)だけは手を出さなかった。

上海総合指数 日足(SBI証券提供)

上海総合指数 日足(SBI証券提供)

いま中国は、生産は本元の鋼材がマイナスになり、消費不況は株式暴落で緩慢に効いてくる。肝心の不動産バブルも、公表値より大幅に縮小するだろう。一部に混同する向きがあるが、世界の株式市場が震えたのは中国の金融市場の神経機能ではない。実体経済である。

中国に敬意を表したドイツ株式市場――「独中連盟」のゆくえ

中国問題は株価暴落から来る金融神経機能の問題ではない。かの国の金融は地域限定型であって、世界に波及するほどにはもともと信用されていない。かつてシャドーバンキング問題なるものが市場を騒がせた時に、本稿ではそう述べた。

世界が心配するのは中国の金融市場ではなく実体経済の減速衰退だ。

特にドイツは主力の輸出先が中国だ。 だからAIIB(アジアインフラ投資銀行)にも率先して乗ったし、人民元連続切り下げの11日、12日にドイツ株が先進国中で一番下がった。つまり中国の実体経済にドイツ株式市場は敬意を表したのだ。

独DAX30指数 日足(SBI証券提供)

独DAX30指数 日足(SBI証券提供)

次からは全くの私見である。

これから世界の覇権を握るのはドイツと中国かもしれない。この2つの国が提携して独中連盟を結成し、日米を牽制し封じ込める、という可能性だってある。

ドイツの技術力とゲルマンの遺伝子、中国の巨大な人口と元来が商業の民・カネの民だった遺伝子、この2国が結託すればどうなるか?

今から中国がロシアとは結託しない。タテマエ社会主義同士の内ゲバは最も熾烈であるからだ。おまけにメルケルおばさんは、旧ソ連支配下だった東独時代の圧政に耐えてきた人物である。

中国が手を結ぶのはドイツではなかろうか。AIIBへのドイツの率先参加表明、人民元の切り下げを一番心配したドイツ株式市場。そして人民元切り下げは本来は中国経済再建には有利だから、それを先取りして近い将来ドイツ株が世界で一番に上がったら、間違いなく独中連盟の兆しではなかろうか。

両国とも本来は大陸軍国だった。しかし、第2次大戦中のドイツの無制限潜水艦作戦(Uボートの活動)と、現在の中国の太平洋への出口欲しさの常軌を逸した活動、両国には通ずる物がある。

「妄想も休み休み言え」と言われるかもしれないが、アベノミクスの初期から憲法改定の危険を述べてきた本稿だから、敢えて今のうちから言わせてもらった。

一方、NY株は12日に日足陽線だった。しかも長大下ヒゲを付けて終わった。実に277ドルと言う長大下ヒゲを示現して、しかも日足陽線であった。

始値:17382ドル
高値:17423ドル
安値:17125ドル
終値:17402ドル

NYダウ(SBI証券提供)

NYダウ(SBI証券提供)

山崎和邦 週報『投機の流儀』』(2015年8月16日号)より一部抜粋・再構成
※チャート画像はMONEY VOICE編集部による

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大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。

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