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私の見た「幸福な富裕者と不幸な富裕者」その決定的違い(後編) – 山崎和邦 わが追憶の投機家たち

株主激怒!アライヴの企てた「詐欺的増資」から身を守れたワケ

さらに私の事例を続けよう。これは読者諸賢も、経営者として、あるいは個人株主として、いつか遭遇するトラブルかもしれないので紹介する。

前述のアライヴコミュニティが上場した後の話だ。私は上場担当の非常勤役員を務めていたから、そろそろ一息ついても良いか、そんなふうに考えていた矢先の話である。

当時の社長がタチの悪い勢力に乗せられて、違法ではないけれども詐欺的な増資を計画した。

実例で言うと、当該株が時価45万円の時に、あるファンドに1株5万円で株式を取得する権利を与える。同時に、そのファンドは大株主である社長から株を借りて、5万円以上は利益になるのだから45万円から5万円までを売るという行為に出る

当然、株価はストップ安も交えながら短期間で5万円まで下がるが、当のファンドにとってはこれが利益の源泉である。5万円で新株予約権を行使して株を入手し、社長に借りた株を返却すればいい。

かくして、会社の資金調達と引きかえに、1ファンドだけが巨富を得て、他の全株主には価値が10分の1になった株が残るばかりという、詐欺的スキームである。

これが不思議と犯罪にならなかった。日本ではこういう増資は一般の証券会社は幹事を引き受けない。筆者が非常勤役員を務めたアライヴではある外資系証券が引き受けた(その証券会社は後に破綻している)。

こういう増資自体は、東証1部のマトモな企業でもやった例は数社ある。ただし、それらには安く取得した株を売らないで保有し続け、既存株主に迷惑がかからないようにする配慮があった。

さて、非常勤役員を務める企業で、まさに一般投資家を欺く詐欺的増資が行われようとしたとき、私はどのように自分の身を守ったか。具体的にはこうである。

まず私は、取締役会においてこの方式の増資に反対を表明し、それを議事録に明記するよう要求した。これは当然のことだ、一般投資家をカモにすると分かっていて、このような増資を認めてよいわけがない。

それから、その議事録を公証役場へ持って行って「確定日付」を取った。これはその議事録が確かにその日に存在したという存在証明を、公証役場という公的機関がしてくれる制度だ。1頁700円でやってくれる。

「そんな議事録はなかった」「あとで作成したのではないか」と難癖をつけられないようにするための防御策である。

後日、私はそれを携えて株主総会に臨んだ。他の役員が、激昂した株主たちから何時間も釣るし上げられる中でも、その書類を提示できた私に怖い物はなかった、株主も納得した。

さらに後日。所用で某証券会社に立ち寄った折、そこの支店長からヒソヒソ声で「折り入って話があるから支店長室に来てくれ」と呼び止められた。応じると、その支店長は「東証から通達があって、山崎和邦氏は反市場勢力企業の役員だから、今後、当社の取引口座は利用できなくなった」旨を言いにくそうに私に告げた。

だがその時も、私は携帯していた例の確定日付つきの議事録を提示して、直ちに取引停止を解除させることができた。間が悪くヘンな企業の非常勤役員だったからとて、東京証券市場という宝の山から締め出されてはかなわない。

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