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ブロックチェーンが巻き起こす「製造業」革命、乗り遅れた国は衰退しかねない=高島康司

ブロックチェーンの導入のメリット

製造業におけるブロックチェーンの導入は、こうしたSCMの弱点を補強し、さらに効率的なサプライチェーンの構築を目的に導入が検討されている。以下が導入の主要なポイントだ。

<メリット1:安全性の確保>

現代のSCMでは、製品需要の変動の対応、サプライチェーン上における製品の追跡、データ捏造の防止、製品保護などの重要なプロセスのすべてが、それぞれの企業が構築した中央集権的な専用サーバで行われている。このサーバの存在のおかげで、サプライチェーンで繋がるそれぞれの企業は相互に強い信頼関係で結ばれる。

こうしたシステムでは、サプライチェーンを支えるサーバのセキュリティ確保が非常に重要になる。どの企業も巨大なファイアーウォールを築いて最大限の安全性を確保しようとしているが、それでも限界がある。絶対にハッキングされないサーバなどは存在しない。

このような状況で導入が期待されているのが、ブロックチェーンだ。これは、ブロック化したデジタルデータを相互にリンクし、分散台帳に書き込む技術だが、一度データが書き込まれると、これを変更することは絶対に不可能だ。アクセス権さえあれば、いつでもデータを変更できるサーバとは基本的に異なっている。またブロックチェーンでは、関係したすべての企業がアクセスできるので、データ高い透明性が確保される。
このように、ブロックチェーンの導入でSCMの一層高い安全性の確保が可能になる。

<メリット2:トラッキング(追跡)機能の強化>

データの改ざんが基本的に不可能なブロックチェーンのSCMでは、製品の原材料、生産国、検査結果、流通経路、賞味期限や環境関連の情報のトラッキングが容易に行うことができる。

もちろんこうした機能は既存の中央集権的なサーバでももちろん行っているが、独自のシステムの構築が必要になるため、相当にコストがかかる。ところがブロックチェーンを使うと、分散台帳にデータが自動的に書き込まれるので、トラッキングの専用のシステムを使うことなく、比較的に低コストで高度なトラッキング機能を提供することが可能になる。

OECDの集計によると、いま偽造製品や海賊版による被害は年間5000億ドルにも上ると見られている。これには、危険な偽造薬物の被害も含まれている。ブロックチェーンのSCMでは、製品のすべてのデータが改ざん不可能な分散台帳に書き込まれトラッキングできるので、偽造製品が市場に出回る前に突き止めることができる。これにより、どの製造業の分野も偽造製品の被害を防止できる。

<メリット3:プロセスの自動化>

プログラムの自動実行機能を実装したイーサリアムのスマートコントラクトを導入すると、業者間の契約や支払いが自動化できる。スマートコントラクトは、特定の条件が充足されてはじめてプログラムが実行される仕組みなので、製品の出荷と配送が確認されてから、支払いを自動的に行うようなことも容易だ。

これにより、契約書を管理し、条件の充足を確認するために必要な中間業者や、代金の支払いを仲介する業者の必要もなくなる。

<メリット4:データの管理>

SCMでは、データの管理は非常に重要な項目のひとつだ。基本的に偽造や改ざんが不可能なブロックチェーンのSCMで契約書などの貴重な書類を管理すると、高度なデータ管理の安全性が確保できる。さらに、企業間の書類のやり取りはすべてブロックチェーン上に自動的に記録されるので、高い信頼性が得られる。

ビジネスの取引で発生したこうした書類は、企業が銀行から融資をうけるために必要となる。ブロックチェーン上の契約書も含めすべての書類が自動的に記録されるなら、銀行はこれを参照し、融資の条件を容易に審査することができる。これで融資を行う時間が大幅に削減されるはずだ。

<メリット5:分析と予想>

需要変動の分析と予測、リスクの予測などはSCMにとって非常に重要である。IoT技術の導入で製品にセンサーを内蔵させ、さらにAIを実装したブロックチェーンであれば、製品のトラッキングから得られたすべてのデータを統計的に処理し、それに基づいた市場変動などの分析と予測を自動的に提供できる。

さらに、スマートコントラクトによって原材料の受注と支払いの自動化と組み合わせると、需要変動に迅速に対応することができる。

Next: ブロックチェーン導入は難しい? 製造業特有の問題点とは

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