中国に端を発する世界的な景気減速懸念の中、大きく売り込まれた日米の株価。しかしこの調整が一巡した後の日米経済は意外に明るいかもしれません。米市場情報誌が取り上げた「中国経済の混乱は、米景気と株価にはプラス」との見方を、元為替ディーラーの矢口新氏が解説します。
「中国経済の混乱は、米景気と株価にはプラス」米市場情報誌
欧米への依存を高める中国
米市場情報誌「ザ・ストリート・ドットコム」は、中国経済の混乱は、米景気と株価にはプラスだと取り上げた。以下に、要点を挙げる。
中国経済の減速により、世界の金融市場が混乱している。とはいえ、米経済は中国経済の減速に大きな影響は受けないだろう。
なぜなら、米国の中国への輸出は、輸入に比べて、はるかに少ないからだ。また、中国がどのような成長を謳歌しようと、米国の革新者たちとのビジネスを行う以外の選択肢はない。
加えて、中国がこれまでの計画経済に行き詰まり、経済改革を進めれば、中国リスクが減退するだけでなく、テクノロジーをはじめとした西側のノウハウにこれまで以上に依存することになる。これらは米経済にプラスに作用する。
米景気の回復と株価は、そういったトレンドに沿って上向くことになる。
出典:Why China’s Turmoil Is Good News for U.S. Economy and Stocks
新興市場国の株が売られても、カネ余り環境は続く
日本の場合はどうだろうか?
日本の対中貿易は2015年1-6月期で、輸出539億ドル、輸入787億ドルと248億ドルの赤字となっている。米国に次ぐ、巨大な貿易相手国の減速はこたえるが、同時期に284億ドルの黒字となっている米国とは比較にならない。
中国経済の減速が日本経済にプラスとは思えないが、その後の改革は明らかにプラスだろう。
私は中国経済の減速、株価の乱高下を新しい制度に生まれ変わるための、いわば産みの苦しみと捉えている。(参照:中国はなぜ変動相場制に移行しない?)
また、株価に関しては、カネ余り環境がなくならない限り、投資資金は債券、株式、商品・不動産などの代替投資物件、現金の主要4つのカテゴリー内で動くことになる。
債券、現金からのリターンは限定的で、代替商品は市場が大きくないことを鑑みると、長期間株式から資金が逃げていることは考えにくい。
世界の株式市場の規模(2015年8月前半)は、米市場がダントツに大きい。次いで、日本、英国と続き、ドイツはフランスやスイスよりも小さい。中国はさらに小さい。
新興市場国の株式が売られることは、日米の株価にもいずれプラスとなるとみている。
『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』(2015年9月2日号)より一部抜粋
※チャートと太字はMONEY VOICE編集部による
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