【図-3】短期的には、確かに、年末高を期待し日経平均の23,000円節目を突破し、上昇機運が高まる可能性もある
ただ、この節目を突破すれば再び大相場を迎えるとの一部記事が見られるが、「TOPIX」「東証マザーズ指数」の200日移動平均線の方向性(長期の方向性を示唆)はすでに下向きへ転換してきている。
その中では、上昇の継続性は限られること、また最後の上昇局面となる可能性を孕んだ上昇となることを指摘しておきたい。そして、必ず利益を確定する「小すくい」の投資姿勢で臨みたい。
なお、日銀ETF買いの影響度の低い指数ほど、チャート形状は悪化している。
好業績を裏付けにした「年末高」のシナリオ
米国の対中追加制裁が実際に発動されれば、「悪材料出尽くし」として株式環境は好転する。好材料は出尽くせば下がるし、悪材料は出尽くせば上がる。市場心理とはそういうものだ。
その時に悪材料出尽くしに合わせて、日本の企業の好業績が市場の関心に向かうシーズンになる。今期の一株利益は1,736円となり、もちろん過去最高水準である。それに対して、今のPERはアベノミクスの始動点のレベルでしかない。
本稿でも「動画」でも時々「里帰り銘柄」という言葉を用いるが、東証第一部のPERの軌跡こそ里帰りだ。もちろん先進国で最も低いPERになる。
ここに目を向けて好業績発表の年末に向けて株式が上がる例は、アベノミクス相場では6回年末を迎えたうちの2012年・2014年・2016年・2017年は8月・9月までの市場は冴えなかったが、その後に業績拡大を裏付けに年末高を演じた(もっとも12年の年末は業績相場ではない。アベノミス始動から1ヶ月目であって青春期相場の真っ最中だった)。