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トルコリラ・ショックはなぜ起きた? 新興国通貨投資に隠された危険性=俣野成敏

【今、世界のお金はどこに向かっているのか?】

続いて、トルコリラ下落に関する外的要因についてお話します。

元来、「新興国にお金が集まる」というのは、「投資対象として魅力がある=今後も成長が期待できる」と判断されているからです。そうした前提のもとに、その国の通貨の需要も上がります。

逆にその国の将来を不安視している人は、通貨を売って資金を引き上げます。「リラを買いたい」という需要よりも、売りたい人が多ければ、当然、通貨は下落します。

MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が公表している指標として、MSCI指数というのがあります。これは先進国、新興国、発展途上国からなる世界70カ国・地域の株式市場をカバーしている指数のことです。

ここをチェックしていくと、世界市場で2018年の年頭を頭打ちに、新興国の通貨が下がってきていることがわかります。実は、ショック前からすでにそういう状況になりつつあったわけです。

世界のお金がアメリカに集まっている

では、このようにして引き上げられた資金がどこへ向かっているのかというと、アメリカです。現在の為替市場はドル高傾向にあります。

アメリカに資金が向かっている主な理由とは、
(1)アメリカ経済が堅調に推移している
(2)法人税の減税効果により、グローバル企業がアメリカに資金を戻している
の2つです。

アメリカ経済は、2018年現在も好調を維持し、第一四半期のGDPが年率2.2%、第二四半期が年率4.2%という数値になっています。「そろそろバブルが弾ける」「いつまでもこのままの状態が続くわけがない」と言われながらも、景気は拡大を続けています。

日本のマスコミは、ゴシップを追いかけることに終始していますが、今のところ、トランプ大統領が世界のお金をアメリカに集めることに成功しているのは確かです。
※参考:米国に関するニュース・データ – Reuter

もう1つの潮流が、トランプ大統領による減税政策によって、アメリカ企業が海外に貯め込んだ資金が戻ってきている、という流れです。

これは本国投資法(HIA)という法律で、多国籍企業が海外で稼いだ利益を本国に戻す際、1回に限り、現金及びその同等物に対しては税率を35%から15.5%へ、工場や設備など流動性の低い資産に対しては税率を8%にする、というものです。2005年に初めて本国投資法が施行された時には、1年間の時限立法によって約3600億ドルものお金がアメリカ国内に回帰し、その年はドル高で推移しました。

その他、今はFRBによる政策金利の引き上げも行われています。現状は年1.75%~2%の数値に設定されていますが、この9月中にも、再度の利上げが行われる予定です。これもUSドルが好感される一因になっています。

Next: 表面的なメリットに騙されるな。投資先を検討するとき見るべきことは?

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