米国はさらに上から目線で中国を追い込む
ポンペオ氏は「米中には多くの問題で明らかな不一致があるが、米国は中国の発展に反対せず、中国を囲い込む気はない」としています。こちらは本当の意味での上目線です。
一方で米国は、中国大陸と台湾を不可分とする「一つの中国」政策を堅持し、「重要な国際・地域問題で意思疎通と協力を強化したい」としています。
ちなみに、台湾自身は日本の一部になりたい意向です。中国などは眼中にありません。この問題もあまりにタッチーですので、ほとんど語られることはありませんが、これが真の実態です。
いずれにしても、様々な面で米中の対立は続きます。中国が折れることもないでしょうが、どこかで折り合いをつける必要もあります。
その一方で、演出のネタにする必要もあります。このようにして、材料を出し入れしながら、市場や国際社会を揺さぶりつつ、注目を集めるようにするでしょう。
第2回目の米朝首脳会談の開催については、王氏は支持しています。そのうえで、朝鮮半島問題に関して「中国は独特で重要な役割を発揮し続ける」としています。
ここで関与を放棄すると、アジアでの中国の存在感を維持するうえで大きな問題が生じることを理解しているからです。
中国も苦しい立場にあるわけです。
終戦宣言にこだわる北朝鮮
ところで、北朝鮮が終戦宣言にこだわっているのは、米国の軍事攻撃の大義が失われると考えているとの見方があります。米軍の攻撃がなければ、金委員長が最も重視する「体制保証」が実現すると見ているようです。
終結宣言は、国際法上の拘束力を持つ平和協定とは異なり、戦争が終結したことを一方的に宣言する政治的な行為にすぎません。しかし、金委員長はそれにこだわっているように見えます。
いまは軍事的に攻撃することはありません。あらかじめ綿密に関係国と打ち合わせをしたうえで、いろいろなことを決めていきます。
現代社会において、相手が北朝鮮であろうと、軍事攻撃を仕掛けるという選択肢はもはや残っていません。しかし、金委員長には古い考えが染みついているのでしょう。もっと言えば、米国の軍事力に勝てるわけがないことを理解しているがゆえに、徐々に緩和し始めているともいます。
非核化は従来から、国連安全保障理事会の制裁決議などでミサイル開発の中止などとあわせて無条件での実現が大原則です。米国側も非核化が進展するまでは制裁を緩めない姿勢を維持しています。日本側も同じ立場です。
北朝鮮の交渉のやり方は、国際社会から明らかに逸脱しています。そのため、最終的には折れることになります。
結論が決まっていますので、あまり引っ張るのは得策ではないと思いますが、これもネタですので仕方がないですね。