想定以上に早く進む非核化
ポンペオ米国務長官が言明するように、北朝鮮は核・ミサイル実験場に国際査察官を受け入れる用意があります。
ようやくそこまで明確に発言するステージまで進んできました。これは想定以上に早い印象です。もう少し後になるのではないかと考えていましたが、米中間選挙をにらんだ成果作りの面もあります。まぁ、小手先の演出にすぎませんが。
すでに米朝で基本的な部分は合意がされています。しかし、見せ方が問題です。ですので、小出しに査察官の受け入れなどを徐々にやるわけです。
今回の会談で、かなり前に進んだ印象になります。これも9月の南北首脳会談での韓国の文在寅大統領の地ならしのおかげです。
もっとも、いつ・どのようなスケジュールで進めていくかは、緊密に話し合われています。もちろん、韓国の後ろには米国がついています。文大統領が米国の意図を汲んだうえで、さらに金委員長のプライドを傷つけないように進めているわけです。
昨年までは「米朝戦争」開戦寸前だった
昨年までは、本当に米朝は敵対していました。これは本当です。そして、場合によっては一戦交える直前まで行っていました。かなり緊迫していたのです。
しかし、米国にはお金がありません。できれば戦争はしたくない。そこに登場したのが文大統領でした。このような救世主が突如現れたことは、米国にとっては信じがたい存在だったといえます。
北朝鮮をまだ信用しきれない米国
それにしても、このタイミングで北朝鮮が東倉里のミサイルエンジン実験場とミサイル発射台を「関係国の」専門家の立ち会いの下で「永久に廃棄」するとしたことは極めて大きいですね。
ただし、今の時点ではあくまで「関係国の」専門家が行うというものです。米国は関与できません。
問題は、これが米国がいつ・どのような形で関与できるようになるのかが、大きなポイントになります。シナリオは決まっていますが、一応みておきたいポイントです。
一方、韓国の文大統領は、金委員長が近くロシアを訪問する見通しだとしていました。中国の習近平国家主席が北朝鮮を訪問する見込みともしています。
北朝鮮はいまだにロシアと中国と手が切れていません。これができないと、米国は真の意味で許さないでしょう。
ちなみに、金委員長はすでにロシアを訪問した可能性があります。米中関係を見ていれば、金委員長もうかうかしていられないというところなのでしょうが、どちらに就いた方が良いという安易な発想だと、結局は米国にやられるだけです。
これは十分に理解しているわけですが、過去のこともありますので、まだ疑心暗鬼になっているわけです。
もっとも、金委員長の生い立ちを考えると、方向性は決まってしまっています。日本と北朝鮮の関係も、もはや揺るぎないものになっているといえます。