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「日程的複合要因」によって救われた世界同時株安、爆弾は遅れて破裂する?=近藤駿介

トルコ・中国に起きた変化

それ以外にも、ここに来てこれまで世界経済の不安要素であった新興国に変化が起きている。今回のサウジアラビア記者殺害疑惑の舞台となったトルコは、この事件を契機に米国との関係悪化の原因ともなっていた米国人牧師を解放し、米国との関係改善に動き出している。さらに9月に政策金利を24%まで引き上げたこともあり急落したトルコリラにも歯止めが掛かっている

さらに、米国との貿易問題を抱える中国は準備預金比率の引き下げや減税などの景気刺激策を打ち出した。中国上海市場は一連の対策に敬意を表して大きな反発を見せているが、米中貿易摩擦の影響が統計的に確認できていない段階でこうした政策を評価するのは難しいことでもある。

その成果を評価することは難しいものの、トルコや中国で政治的な思惑もあり事態の悪化を防ぐような動きが見られていることは、不安定な金融市場を下支えする要因にはなっていると思われる。同時にそれが為替市場での円高圧力を弱めるといえる。

米国金融政策の日程も味方した?

中間選挙に加え、米国金融政策に関する日程もこうしたポジションを傾けにくい要因になっている。

一時3.24%台まで上昇してNY株式市場の波乱要因になった米国10年国債利回りは足元3.2%を下回る水準で落ち着いた動きとなっている。

しかし、先日公表された9月のFOMC議事録でもFRBが漸進的利上げを続ける方針であることが確認され、12月のFOMCでの25bpの利上げを80%程度織り込んでいることを受けて、2年債の利回りはジリジリと上昇を続けており2.9%台に乗せて来ている。

「調査会社ファクトセットによると、これまでに7-9月期決算を発表したS&P500種指数構成企業85社のうち、35%が売上高でアナリスト予想を下回った」状況の中でのこうした金利の上昇は、今後の企業業績に下方圧力が加わる可能性を示唆するもので警戒を要する動きではある。

しかし、利上げが確実視されているFOMCが開催されるのは12月18日・19日と、約2か月先でのことである。9月25、26日のFOMCで利上げが実施されてから1ヵ月も経たないこの時期に、中間選挙後の12月に利上げが確実視されていることを材料に動くのはあまりに先走り過ぎである。つまり、FRBの金融政策も日程的に材料になり難い時期にある。

中間選挙FOMCの日程、さらにヘッジファンドの決算などといった「日程的複合要因」によって、金融市場は方向感を失ってしまっている。

Next: ファンダメンタルズ面でのピークは過ぎた。あとは下り坂か…

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