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自然と目標が実現してしまう?『思考ノート術』はカーナビに目的地を入れるようなもの=午堂登紀雄

結局どういうことなのかを常に意識するようになる

構造的かつ論理的に問題が理解できると、それを取り巻くいろいろな事象や意見がすっきり見えやすくなってくるわけですから、説得力は格段に増すでしょう。

すると、たとえば会議などもダラダラ時間を使うことなく、スピーディに終わらせることができます。というのも、論点がずれるとすぐにわかるため、議案に対して道がそれることはないし、「結局どういうこと?」をつねに意識するからです。

蛇足ながら、私が以前従事していた経営コンサルティングの仕事では、こうした論理的思考力・問題解決能力が高い次元で要求されます。当然、新人・中途の採用面接でもこの点を徹底的に追求します。ですから、

「なぜそう思うのか?」
「それはどのくらいインパクトがあるのか?」
「それは誰でも思いつく答えではなく、あなたならではのものか?」
「もっと大事なことは他にないのか?」
「それがクリアできれば本当に成功するのか?」
「最大の原因は何か?」
「目指すべきゴールはそれでいいのか?」

ということが常に問われます。

こうしたことも、紙に書いていけば、ものごとの仕組みやカラクリが頭の中で考えるだけよりも、よりスッキリとわかってきます。困ったことがあっても、何が問題なのか、どうすれば解決できるのかが浮かんでくるようになります。

こうして思考ノートを使い続ければ、学校の成績が悪かったからと嘆く必要はもうなくなります。

学校の成績など、人間のほんの一部の評価でしかありません。しかも、試験では正解がありますが、現実社会では正解のない問いの方が圧倒的に多いわけです。

その中でベターアンサーを見いだし、その結果をベースに軌道修正していくという、思考ノートを使ったこのトレーニングはカミソリのような頭のキレを養うのに圧倒的な破壊力があります。

実は私も20代のころは2年ほど前述の訓練をしていたため、戦略コンサルに入社することができました。

しかしあれから約15年。今では分析など頭のキレを要求されるような機会はめっきり減ったため、いわゆるビジネス実務の能力は下がったように思います(苦笑)。

ノートは脳外ハードディスク

ノートの大きな役割の一つに、外部記憶装置としての機能があげられます。つまり脳外ハードディスクとして機能してくれます。

いつ、どこで、何があったか、何をしたくて何をしてきたか、あるいは誰とどんな用件で会ったかを記録し、忘れないようにするという、ノートやメモの基本的かつ重要な機能です。

よく言われることですが、人間の記憶力など本当にたいしたことはありません。頭の中で思い浮かんだことというのは、すぐに忘れてしまいます。

私も実際、思いついたそばから、「あれ、何をしようとしたんだっけ?」とか、電車の中で思いついたアイデアを、会社についたら、すっかり忘れていた、なんていうことは日常茶飯事でした。

あるいは、朝目覚めた時、疲れているとフトンの中でしばらくぼーっと考え事をすることがあります。フトンの中では視覚にも聴覚にもまったく刺激がないため、思考や発想に適した非常に状態です。

しかし、フトンの中で考えたことや思い浮かんだことは、すぐ忘れてしまいます。これはトイレの中やお風呂の中などでも同様です。

そもそも無意識状態の思考というのは、様々な発想が浮かんでは消えの繰り返しです。何かの考えが浮かんできたら、その考えが完結する前に次の考えが涌いてきて、以前の考えは新しい思考の奥へと追いやられ、すぐに忘れ去られます。例えば他人とディスカッションしている最中に何かいい考えが思い浮かんでも、そのままにしておくとすぐに忘れてしまいます。

インスピレーションや思いつきというのは、極めて不安定な状態なのです。

Next: 不安定なインスピレーションや思いつきを文字にする理由

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