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英訳すると見えてきた“一億総活躍”が真に意味するもの=佐藤健志

安倍政権は「一億総活躍」を海外にどう伝えているか

さて。第2ステージ、またはプランBに入ったとされる現政権の経済政策、いわゆるアベノミクスのスローガンとして「一億総活躍(社会)」なるものが出てきています。「一億総活躍担当相」というポストまで新設され、加藤勝信さんが就任したのはご存知のとおり。

しかし一億総活躍とは、具体的にどういうことなのでしょうか?加藤勝信さんはご自分の仕事について、こう語っています。

「『強い経済』『子育て支援』『安心につながる社会保障』。(名目GDP)600兆という目標もある。そういったものを実現していくための政策をまとめ上げていきたい」

しかしそれなら、「アベノミクス達成担当相」で問題はないはず。ここで挙がっているのは、総理が第2ステージのターゲットとして掲げたものばかりなんですから。

事実、地方創生相の石破茂さんは、こう発言しました。

(一億総活躍は)最近になって突如として登場した概念だ。国民の方々には「何のことでございましょうか?」という戸惑いみたいなものが、全くないとは思っていない
出典:1億総活躍相、担当は何? 石破氏「突如登場した概念」 – 朝日新聞(2015/10/10)

石破さんの主張はもっともです。「経済政策の達成」と言えば済むものを、なぜわざわざ「一億総活躍」と呼びたがるのか?

英訳で消えた「一億」の数字。その本質は?

こういう怪しげな言葉については、翻訳してみるのが一番。「一億総活躍担当相」の英語訳は、首相官邸の公式サイトによれば以下のようになっていました(初出時)。

Minister in Charge of Promoting Dynamic Engagement of All Citizens
出典:首相官邸ホームページ(英語版)

(編注:現在は「Minister for Promoting Dynamic Engagement of All Citizens」に変更された)

長ったらしい点は不問として、直訳すれば「全国民の『ダイナミック・エンゲージメント』推進担当相」。では、「ダイナミック・エンゲージメント」とは何を意味するのか。

エンゲージメントには「約束」「婚約」「債務」「雇用」などの語義があります。これらすべてに共通しているのは「責任を伴う関わり」であること。

よって「ダイナミック・エンゲージメント」は、「責任を伴う関わりを、積極的に持つ」ことと解せます。

ならば「一億総活躍相」も、「責任を伴う関わりを、全国民が積極的に持つよう推進する担当大臣」となるものの、いったい何に対して、責任を伴う関わりを積極的に持たせるのか?

加藤大臣の発言を見れば、答えは明らかでしょう。ずばり、アベノミクス第2ステージに対してです。

「一億総活躍」とは、「経済政策の成否をめぐる責任を、政府が負わずに国民に転嫁すること」を意味していたのでした!

やはりゴマカシのために使われている言葉は、翻訳するとボロを出すのですよ。ではでは♪

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