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政府はもう「戦後最長の景気拡大」と言い張れない。1~3月はゼロ成長へ=斎藤満

<民間設備投資>

次に大きなウエイトをもつ民間設備投資ですが、これが1-3月はマイナスの可能性が高まっています。

建設工事受注は昨年10-12月に大幅な減少を見せた後、今年1月に2桁の増加と反発しましたが、出発点の水準が低く、また建設財出荷が2月までのデータでみると、前期比2%前後のマイナスとなっています。

また機械受注はもともと1-3月の計画がマイナスですが、その計画よりも足元で下振れしています。建設工事と機械投資ともに1-3月は前期比減少と見込まれます。

その一方で公共投資はこれまで減少基調でしたが、2月になって請負額が大幅増となっています。公共投資は久々にプラス寄与となりそうです。

<外需>

次に外需ですが、日銀の実質輸出入で前期比の動きを追うと、2月までの数字では、輸出、輸入ともに大幅なマイナスとなっていて、ネットの外需でみると、ここまでほぼ成長にニュートラルとなっています。2月の数字が振れていたので、3月にその戻しがあるとすれば1-3月の外需はややマイナス寄与となる可能性があります。

これに政府消費と住宅投資、在庫増減が加わりますが、これらが小幅プラスとなると1-3月のGDP全体ではゼロ成長、在庫などがマイナス寄与となると、マイナス成長となる余地があります。

政府日銀の見通しは下振れ

このように、1-3月の実質成長率がゼロないし小幅マイナスとすれば、18年度の実質成長率は0.5%程度の低成長となります。

政府日銀の予想値をはっきりと下回ります。日銀は1月の「展望リポート」で18年度の成長率見通しを、3か月前の1.4%から0.9%に大きく引き下げましたが、それさえも大きく下回ることになります。市場や日銀内ハト派からは追加緩和の声が強まりそうです。

安倍政権にとっては、秋の消費税引き上げには逆風となりますが、1-3月のGDPの発表が5月20日予定と遅く、そのあとに延期の判断を下すと、関連業界には大きな負担となり、混乱を招きます。消費税の引き上げを延期ないし中止とする場合は、少しでも早い決断が求められます

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