得するのは既存の株主たちだけ?
直接上場では、上場時に新規株式を発行しての資金調達をしません。
そのため、メリットとしては既存の創業者や株主といった人たちにとってのキャッシュアウトの出口を作っているだけにしか見えないのも、非常に違和感のあるところです。
携帯子会社との親子上場にも違和感があった
昨年ソフトバンクグループは、子会社の携帯電話ビジネスのソフトバンクをまんまと親子上場させることに成功していますが、年末の売り出し価格1500円をいまだに一度も上回ることはなく、いそいそと証券会社の口車に乗ってなけなしの金をはたいて株を買った個人投資家はなんら儲からないという憂き目にあったままの状態です。
この親会社と子会社がともに上場するという親子上場は、株式の持ち合いとともに国内独自の資本政策であり、海外ではほとんど見られないものです。
なにより親会社が自社の利益だけを優先してしまうやり方には海外の投資家からもかなり批判が強まっており、過去10年ではかなりその数は減っている状況にあったわけですが、ソフトバンクグループは強引にその状況をぶち破る動きをしているわけです。
世界的な金あまりの状況のなかで、証券業界もなんでもありの世界に陥りつつあるのかもしれません。
しかし、投資行為の結果としてIPOでもっとも利益を享受してきたソフトバンクグループがビジョンファンドを直接上場することになれば、いわばやりたい放題の状況が示現することになり、また物議を醸すことになりかねません。