表面的な現象に右往左往する薄っぺらい報道ぶり
番組コメンテーターのコメントに呆れていると、今度は日経電子版に次のような記事が。
今週(14~18日)の世界の株式市場では、ポーランドや中国、トルコといった新興国中心に株価上昇が目立った。買いの底流には米連邦準備理事会(FRB)が16日に決めた9年半ぶりの利上げがある。米国経済の回復を示すとともに、「利上げのペースは緩やか」と強調することで、資金引き揚げが懸念される新興国にも配慮したのが好感された。
FRBの利上げによる、新興国から米国への資金還流リスクをさんざん繰り返してきた新聞が、利上げ後の新興国株の反発について、FRB利上げによって不安が後退したからと報じている。毎度のことながら表面的な現象に右往左往する薄っぺらい報道ぶりには呆れるばかり。
日本メディアの報道姿勢は「投資家心理」よりもうつろいやすいもののようだ。
米国利上げと「稼ぐ力」~日本企業の問題点
投資においてファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は最も重要な要素。そして、その中で最も重要なのが、中央銀行による金融政策の変更である。
日本経済新聞社が17日実施した社長100人(緊急)アンケートで、米国が利上げしても世界の各地域での投資姿勢を変えないと答えた経営者が8割以上を占めた。
ファンダメンタルズの根幹が変化したにもかかわらず8割の経営者が「投資姿勢を変えない」と答えている。
日本企業は政府、日銀の後押しを受けて無償で「稼ぐ力」を手に入れることができたが、「稼ぐ能力」までは身に付けていないようだ。
金融政策の変更は世の中の「投資姿勢」を変えるために行われるもの。日本の経営者は、企業が「投資姿勢」を変えないのであれば、中央銀行のほうが金融政策を変更することになるということに気付かないのだろうか。
コストカット以外にほとんど何もせずに「稼ぐ力」を政府と中央銀行から授けられてきた企業経営者の経済感覚は麻痺してしまったのだろうか。