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誰が売って誰が買うのか?2016年日本株「下落と上昇の要素」6つ=吉田繁治

4.資源輸出国のSWF(国家ファンド)運用資金が縮小している

日本株を売買する海外投資家は、(1)ヘッジファンド、(2)SWF(国家ファンド)、(3)英米系の投資銀行です。

ヘッジファンドに運用資金を預託することが多いので、直接にはヘッジファンドです。間接的に、(2)と(3)です。

SWFは、2000年代の原油・資源・コモディティが高いときに、運用資金を$12兆(1440兆円:2013年:推計:JPモルガン)に増やしています。※SWF(Sovereign Wealth Fund:資源国の国家ファンド)

大手投資銀行(JPモルガンやゴールドマン)は、QE(量的緩和)で、FRBにMBS(住宅ローン担保証券)と保有国債を売ったマネーを、ヘッジファンドに預託して、運用しています。日本や中国が米国債を買ったマネーも、投資銀行が運用しています。

資源国マネー、FRBマネー、日本マネー、中国マネーが、日本を含む世界への、米国と欧州からの投資・投機のマネーになっています。

SWFの主なものを、運用額とともに、挙げておきます。こうしたデータは、租税回避地のタックス・ヘイブンの金融と同じように、なかなか集まりません。今回、Wikipediaのデータを使います。年度は不明ですが、平均で2013年頃でしょう。

中国のSWF $14553億(174兆円) 輸出マネー
アブダビ首長国のSWF $6270億(75兆円) 原油
ノルウェーのSWF $6110億(73兆円) 原油
サウジアラビアのSWF $5328億(64兆円) 原油
シンガポールのSWF $4047億(49兆円) 金融
クウェートのSWF $2960億(36兆円) 原油
カナダのSWF $1528億(18兆円) 資源
以下続く

※世界のSWF推計 $12兆(1440兆円:2013年)

世界のSWFは、2013年までの原油・資源・コモディティが高かった時期に基金を増やしています。しかし2014年の半ばからの原油価格の下落($100→$32)とともに、原油輸出国の財政は大きな赤字に転落しています。

輸出で世界一のサウジアラビアでは、GDPの20%もの財政赤字になっています。政府の歳入の減少は$820億(9.8兆円)と言われます。油田はほとんどが国有であるため、輸出代金の減少(1/3)は、直接に国家の収入を減らします。産油国は、税の代わりに、国家が原油の輸出で収入を得ています。

2014年7月からの原油の暴落は、海外投資を行っているSWFの運用資金を減らします。例えば、サウジアラビアのSWFは、$5328億(64兆円)です。原油が$30付近ならSWFの資金は1年に10兆円の割合で減って行くでしょう。サウジアラビアのSWFがいくら日本株を買っているか不明ですが、仮に、日本株のグローバルシェアである約10%としたときは6兆円です。

すでに6000億円付近の日本株が、サウジのSWFから売られているでしょう。サウジアラビアだけではない。他の産油国・資源国も同じです。

つまり2015年からは、$12兆(1440兆円)の、グローバル投資をした世界のSWFが、原油が低い価格である間、投資資金の引き揚げを行っています。これが、米国株、日本株、ユーロ株の下落の50%を説明するでしょう。

日本のような、原油・資源のほぼ100%を輸入する国にとっては、原油・資源・コモディティの下落は、普通のときは、企業の利益を増やして株価の上昇要素になります。

しかし、マネーの動きも気象のような複雑系です。原油・資源・コモディティ価格の下落によるSWFと、中国のSWFの運用資金の10%くらいの減少が、世界の株価の下落の50%を説明するでしょう。

そして、FRBの利上げによる、米国のレポ金融の縮小から来る運用マネーの減少が、株価下落のもう50%を説明するでしょう。

なおさかのぼって、原油・資源・コモディティの、2014年8月からの下落の原因は、(1)中国の需要減と、(2)ヘッジファンドによる原油や資源の先物買いの減少です。

価格を上げる先物買いは、3か月や6ヵ月後の限月には、反対の、現物売りで清算になります。先物買いが減少すれば、限月には売りが増えて、原油・資源・コモディティ価格は一層下がるのです。

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