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誰が売って誰が買うのか?2016年日本株「下落と上昇の要素」6つ=吉田繁治

2.国際的な資金の大きな動きはどうなっているか?

ドル・インデックスで見ると、大きなドル買い/ドル売りがわかる

ドル・インデックスは、貿易額の加重平均で見た米ドルの指数です。円/ドルの関係だけではなく、世界の通貨(ユーロ、円、英ポンド、カナダドル、スイスフラン、スウェーデンクローネ)に対するドルの価格が分かります。

ドル・インデックス(ドル指数)が上がるときは、ドルが買われて米国にマネーが集まっています。逆に、下がるときは米国からマネーが流出するときです。

世界の外為相場では、1日(1年の誤記ではない)に、$6.8兆(816兆円:2013年)の通貨の売買があります。円のシェア12%です。

買い超の通貨にマネーが集まって上がり、売り超の通貨からは逃げて、下がっているのです。21世紀は、国際的なマネーの動きが巨大です。ここを見なければ、マネーの動きはわからないのです。円高のときは、日本にマネーが集まり、円安では主にドルに逃げています。

グラフの刻みを毎月にすると、2004年6月~16年1月までの12年間のドル指数がわかります。大きな動きを見ます。この10年間の米ドルの動きは、3つの時期に分けると、意味がよく分かります。

3.10年間を3つの時期に分ける

(1)2006年から2008年のリーマン危機まで

この間は、ドル指数が92付近の高値から72のドル安になっています。リーマン危機のとき、価値を下げた米ドルが大きく売られたのです。米国の金融危機は、ドルが売られる危機でもあるからです。

(注)このとき円は買われて、$1=120円付近(2006年)から80円(2011年)へと33%も上がっています。これは円高ではなく、リーマン危機後のドル安だったのです。

(2)2008年10月~2014年7月(テーパリング確定)まで

リーマン危機がもたらしたドル危機と、米国・欧州の金融危機に対して、米国FRBは3回の量的緩和で、$4兆(480兆円)のドルを増刷し金融機関に与えて危機を乗り切ります。

ドル指数は、安値の72から88の間を激しく動いたのが、08年10月から14年7月までの、3回のQE(量的緩和)の6年間でした(変動幅16=22%)。金融危機は脱した、いや景気はまだ悪い、雇用の回復を見れば米国の景気はいいと、揺れ動いていたからです。

(注)2012年末からは、日本政府が誘導したドル買い(推計30兆円)を起点に、円はリーマン危機の前の、$1=120円にまで下がって、現在に至っています。

2013年には、海外投資家は、円売り(円安)とともに、日本株を15.1兆円も買い越して、日経平均で1万円から1万6000円(13年12月)に上げています。

(3)2014年7月~2016年1月まで

米国FRBは、2014年1月からQE3(量的緩和第3弾)を停止して、テーパリング(ドル増発の順次縮小)を行い、同年10月に完了しました。

中央銀行がマネー量を絞ることや利上げは、普通は、通貨高の要素です。このためテーパリングの完了が予想された2月前の14年8月から、80だったドル指数は、高騰に向かいます。

2016年1月(現在)には、25%高い100に高騰しています(リーマン危機前の水準+8)。(注)通貨での25%高は高騰です。

80だった14年7月からは、25%ものドル高になっています。これは2014年8月以降、世界の通貨(ユーロ、円、元、新興国通貨)がドル買い、自国通貨売りに向かい、米国にマネーが集まっていることを示すのです。

【下落した新興国の通貨】
上がったドルと逆に、新興国の通貨は、軒並み下がっています(20~30%)。輸出品目である原油・資源・コモディティの下落と、米国が新興国からの資金を引揚げてきたからです。下落の原因は2つです。

  • (1)世界の資源の30~40%を使っていた中国の生産の減退
  • (2)量的緩和終了後の米ドルが、原油、資源、コモディティの先物投機から引き揚げたこと(ヘッジファンドの先物買いの縮小と先物売り)

この間、人民元も政府が変動幅2%でドルペッグさせていたので、ドルとともに世界の通貨に対して25%上がっています。

「2015年からの人民元の下落」には、2014年8月以降、元が25%も上がっていたという伏線があることを記憶しておいてください。

【25%のドル高】
2014年8月以降、現在に至るまで、米ドルは25%ものドル高だったことを確認します。世界の通貨からのドル買いが大きかったことを示します。世界のマネーが米国に集まったのです。

(注)後述するように、日本の金融機関も、2014年からドル買いに転じています。

【新興国の通貨売り】
2009年以降、新興国に出ていたFRBの量的緩和のドル(新興国の通貨買い)が、ドル買い/新興国通貨売りになって、マネーが米国に回帰しています。

ドルの引き揚げが、2014年央からの原油の下落の主因でもあります。

【原油・資源・国際コモディティ】
2014年7月の1バーレル$102(WTI原油価格指数)は、同じ年の12月には$59に、翌15年12月には、$37へと64%下がっています。

同時に、資源とコモディティ(CRB商品指数:28種)も、300から164(16年1月)にまで、48%下がっています。逆オイルショクと言えるくらいの暴落です。

原因は、前述のように、中国の原油・資源・コモディティ需要の減退(これが50%)、FRBがテーパリングから利上げに向かったことによる、ヘッジファンドの投機マネーの引揚げです(これが50%)。

Next: 4.資源輸出国のSWF(国家ファンド)運用資金が縮小している

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