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慰安婦20万人の虚構=『正論』元編集長・上島嘉郎

前回のメルマガで、慰安婦問題をめぐる日韓合意について書きました。2週間以上が経過しましたが、ソウルの在韓日本大使館前の慰安婦像は撤去されていません。(『正論』元編集長・上島嘉郎)

記事提供:『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2016年1月15日号より
※本記事の本文見出しはMONEY VOICE編集部によるものです

世界に拡散した「慰安婦20万人」という数字の出処は

『韓国には言うべきことを言おう』(仮題/ワニブックスPLUS新書)という本を2月に刊行予定と前回書きましたが、その資料調べて千田夏光の『従軍慰安婦』に改めて目を通しました。同書は昭和48(1973)年に双葉社から刊行され、昭和59(1984)年、講談社文庫に収められました。

その文庫版のまえがきで、千田氏は支那事変、大東亜戦争を日本の侵略戦争と断じたうえで、こう書いています。

侵略戦争に従軍させられた将兵は道義心、倫理観を喪失し、〈道義心と倫理観の喪失したとき略奪行為は戦場の必然〉となる。

〈戦場における兵隊はなんでもかんでも殺さねばならなかった。(略)侵略軍にたいしては女子供も撃ってくる、撃ってこないまでも後方にいる味方に通報するから、これも殺害の対象になった。(略)三日この戦場体験をしたら半狂人である〉

〈南京攻略戦で半狂人と化した従軍将兵をしずめるための“鎮静剤”として軍が案出したのが本稿のテーマである前代未聞の“従軍慰安婦”だった…。(略)〉

千田氏は戦前の日本は侵略戦争をし、侵略戦争であるがゆえに従軍した将兵は道義心、倫理観を喪失して「半狂人」となり、それをしずめるために従軍慰安婦が必要になった、と述べるのですね。

しかし、これは事実として証明されていません。千田氏が頭に描いた構図です。読み進めていくうちに感じるのですが、千田氏は人間を「半狂人」とか「悪代官に責められる庄屋」とかの表現に括って、人間性の複雑さというものを顧慮しない。自分が考え出した鋳型に、自分が拾った証言や事実(かどうか不明な記述が多々)を嵌め込んで見せているのです。

現在韓国国内では、日本大使館前をふくめ京畿道高陽市、慶尚南道巨済市など7カ所に、韓国系市民団体のはたらきかけで全米6カ所に「慰安婦碑」や「慰安婦像」が建てられています。

それらに刻まれた碑文にほぼ共通するのが「性奴隷」という表現と、「20万人が強制的に連れ去られた」という記述です。

「日本の軍・官憲によって朝鮮の若い女性が20万人も強制的に連行されて慰安婦にされた」という虚偽を世界に広げたのは、千田夏光、吉田清治と、この2人の著作や証言を積極的に取り上げて権威づけした朝日新聞――という批判も、事の経緯を単純化した物言いではありますが、国連のクマラスワミ報告やマクドガル報告、米下院の対日非難決議などにこれらが根拠として採用された経緯をたどってみると、その因果関係に合理的な説明が可能です。

もちろん、ここにわが国政府の摩擦回避のための事実棚上げの禍根(河野談話など)や、人権派弁護士のイデオロギーに傾斜した反日活動などを重ね合わせてみることが必要ですが。

さて、千田氏の『従軍慰安婦』の内容に戻ると、慰安婦の数についてこんな記述があります。

〈冷厳なる数字としてこんにち示し得るのは、元ソウル新聞編集局副局長で現在は文教部(文部省)スポークスマンを務めておられる、鄭達善氏が見せてくれた一片のソウル新聞の切り抜きだけである。そこには一九四三年から四五年まで、挺身隊の名のもと若い朝鮮婦人約二十万人が動員され、うち“五万人ないし七万人”が慰安婦にされたというのである。〉

挺身隊と慰安婦の混同については、日韓両国ともに誤認であることの理解が多少深まってきたと思いますが、世界に拡散した「慰安婦20万人」という数字の出処はこのあたりのようです。

日本統治時代の朝鮮半島の人口は、それまで一千万足らずだったのが約2500万人に増えています。総人口2500万として、その内の20万ということは、老若男女合わせて125人に1人を慰安婦にしたことになります(約半分は男性ですから、全女性の約60人に1人が慰安婦とは!?)

「そのために日本軍は12歳の少女まで慰安婦にした」と韓国はいうのですが……そんなことが現実に可能でしょうか。

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