官製相場が30%(時価総額では150兆円)
今日は2万1,333円の日経平均で、その約30%分(6,000円)くらいが、官製相場によるものでしょう(郵貯+かんぽ生命+GPIF+日銀の買い)。官製相場は、永久に続けることはできない。しかし、政府系金融機関が売ると暴落の契機をつくるので、売ることもできない。
株価が暴落したときは、国民の年金マネーが減ってしまう運用構造になっています。GPIFのお金は、政府でなく国民が年金保険でおさめたものです。GPIFが、勝手に運用方法を決めていいものでしょうか?
【日銀も、株を買い続けることはできない】
日銀が、1年に6兆円の株の買い増しをやめるときは、ほぼ100%の確率で、日本株は下落します。そのとき、官製相場を作ってきた政府系金融機関(ゆうちょ、かんぽ、GPIF、日銀)には、大きな損がでます。結果責任は、誰が負うのでしょう。ゆうちょ、かんぽ、GPIF、日銀のマネーは、いずれも国民が所有者です。政府は所有者ではない。
【政府系金融機関の株買いの意味】
わが国では、個人で株を買う人は700万人しかいません(成人の7%)。40%の米国より、はるかに少ない。ところが、国民のマネーを運用している政府系の金融機関が、個人の代わりに株を買っています。
間接的ではあっても、国民が株を買って自分の年金基金を長期運用しているのとおなじことになっているのです。
日銀の発行マネー(日銀の負債)も、民間金融機関と国民が所有者であるマネーです。日銀のものではない。郵貯、かんぽ生命、GPIFのマネーも所有者は、国民です。政府に、こうした認識があるでしょうか。
【保険支払額より、給付額が少なくなる40歳以下の世代】
50歳以下の世代は、保険料の支払額に対して、年金・医療費・介護費を含む受益額は、赤字です。
社会保険料は会社が50%負担とはいいますが、会社側にとっては、人件費と同じです。個人分は、所得税と同じように会社が天引きして支払っています。
財政赤字の主因(33兆円分)は、足りない社会保障費の補填
【政府の税収+金融収入は、63.9兆円】
中央政府の総税収は、
・個人所得税(19.0兆円)、法人税(12.2兆円)、消費税(17.6兆円:8%)、物品税等10.3兆円、合計で59.1兆円しかない。
・その他の金融収入等が4.8兆円です。合計では63.9兆円が、政府の収入です。
【一般会計の財政支出は、97.7兆円】
一方で、中央政府の「一般会計」の支出は97.7兆円です(2018年度)。一般会計のなかに、特別会計の社会保障費(年金・医療費・介護費)を補填する33.0兆円が、もっとも大きな支出として含まれています。
【国債の発行が、33.6兆円】
中央政府の赤字国債の発行は、33.6兆円です(2018度)。社会保障費の、中央政府からの必要な補填33.0兆円は、税収ではまかなえず、財政赤字になり、2018年は33.6兆円の国債の発行、売却です。
家計と政府の双方で、赤字とは、お金の不足です。不足分は、国債の増発として借入金で調達されています。借入金でも、資金収支(キャッシュフロー会計)では収入になります。
【大福帳会計という方法】
政府の一般会計は、奈良時代の昔から損益会計ではなく、家計簿と同じ大福帳会計です。このため、国債の売りを、政府の売上収入と誤解しているふしも見えます。
政府は、借換債120兆円を含むと、1年に150兆円~160兆円の新発国債を発行して、金融機関と日銀に売っているのです。国債は利付き借用証ですが、それが売れれば、資金の収入にはなります。