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30代世帯の純貯蓄はマイナス735万円…米国を下回った日本の世帯貯蓄率の背景=吉田繁治

国会で「65歳以降、2,000万円が足りない」という論争が話題になっていますが、この論争は無益です。今回はその本質とその背景について詳しく解説していきます。(『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)

※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2019年6月19日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

社会保障の財源を知ると財政問題がわかる

2019年6月19日: 年金・医療費・介護費の30%財源は国債

国会では「65歳以降、2,000万円が足りない」をめぐって、選挙目当ての無益な論議が起こっています。

麻生大臣が、
・諮問会議の「報告書」を拒否すること、
・野党が「100年安心できる年金ではない」として非難すること
の両方が、今後の社会保障についての真正な論点をはずしているからです。

麻生大臣を筆頭にした不勉強が根にある問題か、あるいは知ったうえでの答弁と質問なら、ともに国民を欺いています。

年金を含む社会保障では、財源の問題が本筋です(121兆円:2018年度:年金、医療費、介護他の公的保険給付)。

【社会保障費不足は50.8兆円】

個人と会社が払っている社会保険料(70.2兆円)では、給付額121兆円に、50.8兆円(42%)も足りていません。足りないということは年金、医療費、介護費の、制度で決めた額の100%支給ができない。

このため政府は、
・国債(33.1兆円)と地方債(13.8兆円)を合計で46.9兆円発行し、その収入を給付に充てています。
・加えて、年金と医療費の積立金(特別会計に所属)の運用収入から3.9兆円を入れて、不足分を補っています。
※参考:日本の財政関係資料:財務省:2018年

GPIFの運用と、最近の結果

年金受給者が少なく、公的年金が黒字だったときの積立金を、GPIFが預かって運用している金額は151兆円です(18年12月末)。国内株で36兆円、海外株(主は米国)で37兆円の運用です。合計73兆円が「リスクマネー」になっています。

2018年の第3四半期には、米国株・日本株の約20%の下落が原因になり、14.8兆円の損をしています。GPIFは、金利が上がらない限りは価格が下がらない運用ができていた円国債を日銀に売って、安倍政権の株価上昇策に促され(あるいは命じられて)、「国民に諮(はか)ることなく」、日米の株式に振り替えています。

2014年からはGPIFが日銀に国債を売り、その代金で約20兆円の日本株を買ったとき、当然のこととして、株価が上がりました(2014年10月1万5,700円→15年7月2万500円:日経平均)。

しかし、有限な資金のGPIFが、日本株に振り当てた30兆円で、買い増しをやめたとき、株価が下っています(2016年)。GPIFのあと、今度は、日銀が年間6兆円の特例の株買いで、支えています(19年6月には、26兆円の株価指数(株ETF)の所有)。

Next: これらの買い支えは、日経平均のどれくらいを占めているのか?

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