【政府の破産とは、デフォルトのことである】
なお、政府は、債務超過になって、借り入れができなくなった企業のような倒産と破綻はしません。倒産した企業は、その日から企業活動ができなくなります。しかし、政府の行政は、続きます。
国会と公務員組織も残ります。倒産会社の社長とはちがい、首相や大臣という職業も存在しつづけます。革命が起こらないかぎり、政府は存在し続けます。
政府の破産とは、革命や倒産ではなく、デフォルトのことです。
デフォルトとは、法令で決めたまたは予算とした支出の支払いが、100%はできなくなることです。120兆円発行しなれればならない借換債の発行にも困難をきたすので、満期がきた国債の返済と、利払いもできなくなります。これが国債のデフォルトです。
▼MMT(現代貨幣理論)の主張
ここでMMT(現代貨幣理論)の主張です。政府の子会社が中央銀行である。このため両方を資産・負債を統合して、連結で見なければならない。中央銀行は、政府の国債を買って、国債を通貨に換えることができる。通貨は、国債と違い、返済と利払いが要らない。「政府紙幣」を発行したことと同じになります。
中央銀行が、財政赤字から発行する国債を買い続ければ(政府紙幣を発行すれば)、銀行借り入れのクラウディングアウトにはならず、金利も上がらない。
つまり政府の破産(デフォルト)は永久にない。ただし、インフレの可能性はある。大きなインフレの時は(想定は7%以上か?)、増税するか、財政支出を絞れば、短期で収まる。
以上の原理から、政府は「完全雇用」を目的に、積極的に財政赤字を作って、財政支出を増加させるべきである。
以上が、自国通貨をもつ国の政府財政についての、MMT(現代貨幣理論)の主張です。果たして、これは正しいでしょうか。当メルマガの前号でもとりあげました。
▼米国での論争
トランプ財政(減税と軍事費の増加)で、赤字が1兆ドルに増えている米国で、論争が起こっています。
米国連邦政府の財政の累積赤字は22兆ドル(2,420兆円)に達して、連邦国債の発行額になっています。FRBは2.15兆ドル(236兆円)の米国債を買って、ドルに変換しています。
※参考:Quarterly Report on FederalReserve Balance Sheet
Developments
(注)米国では、州の赤字(州債や市債の発行)も連邦に匹敵します。NY市は何回か、夕張市のように破産しています。市が破産すると、警察官や公務員は、ドライに、その日からレイオフになります。カリフォルニア州の、豊かなひとたちが住んでいて税収が多いオレンジ・カウンティ(郡)も、デリバティブによるマネー運用の失敗から1994年には破産していました(損失17億ドル)。
オレンジ郡の財政予算の規模は、37億ドルでした。日本では、政府の破産をこの世の終わりのようにいう人が多いのですが、そうではありません。
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