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日銀追加緩和の有無で考える今後の相場シナリオ~日銀会合を控えて=馬渕治好

止まるも進むも問題山積な日銀の金融政策

1/29 追加緩和の有無で考える今後の相場シナリオ

前ページで述べたように、今週1/28(木)~1/29(金)の日銀の金融政策決定会合に、どうしても注目が集まってしまいます。今のところ、追加緩和すべきではないし、どちらかと言えば、追加緩和しない可能性の方が高いと見込んでいます。ただ、追加緩和してもしなくても、市場にとっても日銀にとっても、苦しいことになりそうです。

追加緩和すべきではない、と考えるのは、まず日本の実体経済については、何らの急変も生じていないからです。原油価格の下落が一段と進んだため、物価見通しを引き下げざるを得ない情勢で、実際に金融政策決定会合時には、日銀自身が、2%の消費者物価上昇率達成時期の見込みを先送りすると予想されます。

しかし物価上昇率の低迷は、エネルギー価格下落によるものであるため、日本の企業や家計にとって好ましいことです。

急変したのは市場動向、特に株価ですが、もし今週追加緩和が行われれば、どうみても株価下落に対応した形になります。日銀がそのつもりでない、といくら言い張っても、株式市場には、「株価が大きく下落すれば、いつでも必ず日銀が助けてくれる」という甘えが広がり、先行きの金融政策が縛られる恐れが生じます。

こうした点から、日銀は追加緩和すべきではないと考えますし、実際にしない可能性が高いと見込みます。

では、筆者の予想通り、日銀が追加緩和しない場合、何が起こるかと言えば、勝手に緩和を期待した市場が、勝手に失望(一時的であっても、株安、円高)するでしょう。それは日銀が悪いわけではなく、勝手に期待した市場が悪いと考えます。

ただ、間が悪いことに、先週ドラギ総裁が口先介入を繰り出しましたので、「口頭で市場を支えたECB、何もしなかった日銀」と、市場が勝手に日銀を悪者にするでしょう(しかし、日銀が悪いわけではありません)。

では、黒田総裁が、発言で市場を鼓舞しようとすれば、まさか「○月に追加緩和するかもしれない」とは言えません。おそらく、追加緩和が「必要となれば、(金融政策を)躊躇なく調整する用意がある」と記者会見で総裁は語るでしょうが、それはもう何度も繰り返されている発言なので、何の効果もないでしょう。

では、可能性が低いとは考えますが、もし追加緩和したらどうでしょうか。既に日銀は、大量の国債を買い進めており、今市場では、むしろ「日銀が国債の買い入れを進めることは、いずれ難しくなるのではないか」と懸念されている状況です。

とすると、国債の買い入れペースをあとほんの少しだけは増やすことができるのかもしれませんが、その他に、地方債や社債も少し買い入れる、ETFやJ-REITも少し買い増す、といったような形で、細かい策を積み重ねるしかないでしょう。

とすると、市場は「そんな策しかないのか」と、またかえって失望する恐れがあります。

というのは市場参加者の中には、「日銀がどのような策を打ち出せるのか、自分は全く考えもつかないが、きっと黒田総裁は、素晴らしい策をどかんと打ち出して、我々にポジティブサプライズを与えてくれるに決まっている」と、ありもしないことを期待している人がいるからです。これも、日銀が悪いわけではなくて、市場が悪いと言えます。

また、このところの市場波乱は、中国経済の失速懸念や原油価格下落の影響など、日本国外の要因によって起こっています。そこで日銀が追加緩和したとしても、海外の悪材料を直接に改善できるわけではないので、市場に与える効果はほとんどないかもしれません。

もう「日銀が何かしてくれる」「政府が何かしてくれる」「誰かが何かしてくれる」というのは、さっさとあきらめた方が、市場にとっても長い目でよいように思います。

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馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』(2016年1月24日号)より一部抜粋、再構成
※記事タイトル、本文見出し、太字はMONEY VOICE編集部による

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