破綻危機が叫ばれてきたドイツ銀行が再建計画を発表。従業員の20%をリストラし、株式売買業務から撤退します。なぜこのような状況に陥ったのでしょうか?(『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』児島康孝)
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巨額損失を前に立ち往生?「低金利の長期化」が話題になるワケ
従業員の5人に1人を削減
ドイツ銀行が再建計画を発表し、各社が報道しています(編注:ドイツ銀行は7月7日、株式売買業務からの撤退、全従業員の20%にあたる1万8,000人の削減などで経営再建を目指すとの発表を行いました)。
※参考:ドイツ銀行、1.8万人削減 投資銀行部門を大幅縮小 – 日本経済新聞(2019年7月8日配信)
失敗したポジションを分離し、経営のサイズを縮小する。
再建計画は報道のとおりですが、ドイツ銀行がこうした状況に陥った理由は何かを考えてみましょう。
国債の「売り」ポジションを大量保有か?
ドイツ銀行の経営危機に関しては、しきりに、低金利の長期化の話が出てきます。
通常なら、これは調達金利と貸出金利がセットで動くので、それほど大きな要因とはなりません。
つまり、金利のレベルが高くても低くても、それに合わせた「設定」がなされるわけです。名目の金利水準が低くても、マイナス金利で調達してゼロ金利で貸す、ということもできるわけです(調達に支障がなければですが)。
しかし、もし巨大な国債の「売り」ポジションを持っているなら、話は別です。
巨大な国債の「売り」ポジションを持っていれば、低金利の長期化は、巨額の損失を生み出します。
通常なら、金利が上昇して、国債の価格はそのうち下がるので、「売り」ポジションは利益を生みます。しかし、低金利が長期化しますと、国債の「売り」ポジションは、巨額の損失となります。
そして、さらに金利が下がると、もっと巨額の損失になります(=国債価格が上昇)。
つまり、ドイツ銀行が「金利はそのうち上昇するだろう」という考えで国債「売り」をしていた場合、予想に反して、金利がさらに下がると、国債価格が上昇してしまい、買い戻しで巨額の損失が出るわけです。
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