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韓国輸出規制で日本は負ける?トランプ政権を動かす韓国の強力なロビー活動=高島康司

韓国のアメリカロビー

このように、韓国のアメリカに対する外交手腕にはあなどれないものがある。

そしてその背後に存在するのは、アメリカの強力な韓国ロビーである。ちなみにロビー活動とは、望む政策を実現するために議員や議会、そして省庁に働き掛けを行うことだ。最近発表された監視団体、「責任ある政治センター(Center for Responsive Politics、CRP)」の報告書によると、トランプ政権が誕生した2017年1月以降、アメリカでロビー活動を行った133の国と地域のなかで、韓国が費やした金額は約78億200万円で最多であることが明かになったとしている。

2017年、韓国政府はアメリカでのロビー活動に57億4500万円を費やし、さらに18年7月末までに約2億4400万円を費やした。

韓国の非政府組織がアメリカのロビー活動に費やした金額は、2017年が約11億3000万円、18年7は7月まででが6億8300万円だった。また、2017年には、「韓国国民銀行」が7億1200万円、「韓国貿易協会」が1億3600万円、政府外郭団体の「韓国対外経済政策研究院」が1億2900万円、「韓国文化財財団」が7600万円、「韓国中小企業振興公団」が5900万円を支出している。

また、資金監視団体の「オープンシークレット・ドットオルグ」によると、2018年の合計では官民合わせて31億621万円を支出している。これは政府の12億450万円、「対外経済政策研究院」を中心とした民間の19億576万円の合計である。

2017年から18年にかけては日本の支出も大きく、ロビー活動費では世界第2位につけているものの、やはり首位の韓国にはかなわない。25%程度、韓国の支出が日本を上回っている。

福音派の宗教ネットワーク

このように、アメリカに対する韓国のロビー攻勢は激しい。資金的な支援を受けているアメリカの政治家や団体・組織は多い。ましてや、人口数では日系人を40万人も上回る在米韓国人のコミュニティーが存在しており、全米各地のロビー活動の展開では中心的な役割を担っている。

そして、日本ではほとんど知られていないようだが、韓国のこうしたロビー活動を一層強力なものにしているのが、福音派の宗教ネットワークの存在だ。

当メルマガでは前回、アメリカの福音派の信仰について解説した。福音派は、個人的な苦しみや問題の発生を原罪の現れとして理解し、問題から解放されるためには罪を悔い改める「改心」の必要性を認識しているプロテスタントに働きかけ、強力な説教によって瞬時に改心させることを特徴にしている。これはアメリカに特有なキリスト教の形態である。

このような福音派は教団ではなく、全米各地の個別の教会を中心にした運動だ。しかしその勢力は巨大で、全米で8000万人の信者がいるとされる。米政界への影響力も非常に大きく、マイク・ペンス副大統領テッド・クルーズ上院議員をはじめ、共和党の最大勢力である「キリスト教保守派」を形成している。

福音派の81%がトランプに投票しており、トランプ政権の最大の支持基盤のひとつになっている。無視できない存在だ。

韓国では約30%がキリスト教徒

実は、韓国はキリスト教徒の多い国だ。人口の約30%がキリスト教徒だ。そしてカトリックはそのうちの10%から11%程度だから、残りの19%から20%はプロテスタントだ。なかでもアメリカ由来の福音派の信者は非常に多い

韓国で福音派が大きな勢力となっているのは、アメリカの福音派教会が20世紀初頭から韓国の布教を熱心に展開したからだ。日本統治時代には福音派教会は、抗日運動の拠点にもなり、韓国国民の結集の場になった。

さらに朝鮮戦争後は、北朝鮮にいた相当数の福音派も含めたプロテスタントの牧師が韓国に亡命して拠点を築いた。それらの教会は、北朝鮮と共産主義への非難を展開する拠点になった。また韓国で民主化要求運動が高まった1970年代から80年代には、福音派を含むプロテスタントの教会が民主化要求運動の拠点であった。

このように韓国には、アメリカから入ってきた福音派がしっかりと根付いているのである。そして、そうした福音派のなかでも最大の教会が「ヨイド福音教会」である。ここは、83万人の信者を擁する世界最大規模の福音派教会だ。

一方、在米韓国人におけるキリスト教徒の割合を見ると、本国よりも多いのが分かる。71%の在米韓国人がキリスト教徒であり、そのうち40%が福音派である。

こうした宗教的ネットワークが築く人間関係の政治における影響はなかなか見えにくい。なぜなら、それらは個人を中心としたネットワークとして発展する傾向が強いからだ。だが、同じ教団の信者であり、同じ教義を信奉する人々の関係は非常に強いものがあるとみて間違いないだろう。いっときの利害の打算を越えた宗教的使命感による団結も十分に可能だ。

ましてや、副大統領も信者であり、「キリスト教保守」と呼ばれる福音派の影響力が大きいトランプ政権下の共和党である。両国の福音派同士の強力なネットワークが存在し、日本の対韓国輸出規制の問題では、韓国の望む方向にアメリカの外交政策が変更される可能性は十分にあると見ておいたほうがよい。

Next: 日本が方針転換を迫られる?韓国と米国の深いつながり

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