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沈み行くアメリカと米ドル。ロシアとイランの計画、新たな2つの兆候

ロシアは独自の原油価格基準を作り、米ドルからの「独立」を目指す

1980年代の終りまでは、原油価格は実際の需要と供給関係で決まっていたのだが、GSがJ.Aron社というブローカー会社を吸収合併(初期の購読者の皆様は覚えておられますね。J.Aron社の記事を!)した時に、GSは悟ったのだ。

原油先物市場でペーパーオイルの取引を用いれば、噂やデリバティブ取引で価格不正操作ができるし、顧客のポジションも全部分かるので、大きな利益を得られることを。これで原油先物取引はGS、MS、JPM等の賭博場になったのである。

1973年のオイルショックのとき原油価格は5倍となった。1975年米国の財務省Jack F. Bennett財務次官がサウジアラビアに派遣され、サウジアラビアや湾岸産油国の原油はすべて米ドル建て取引になった。このBennett財務次官は後にExxon社の経営陣に加わった。

サウジアラビアは見返りに王家の防衛を米国に保証させた。このようにしてウォール街の大手金融機関は、原油価格の決定権を握ることができたのだ。

当時、米国の国務長官だったヘンリー・キッシンジャーは「原油を握れば、世界を握れる」と嘯いたと言われている。1945年以降、原油が米ドル体制の心臓部となった。

ロシア原油の取引はドル建てブレント原油の価格が中心指標となって決まっている。もうほとんど採掘され、生産量が減っているブレント原油という油種の基準価格が、国際取引原油総量の3分の2以上に適用される。

他方、ロシアは世界最大規模の原油生産国であり、ロシア独自の原油価格の基準を作れば、それが米ドル建値からの独立となる。

2013年のロシアの生産量は日量1050万バーレルで、サウジアラビアよりも少し多い。ロシア国内では原油ではなく、天然ガスを主に使用するので、原油生産の75%が輸出に回るのだ。主な輸入国は欧州で、日量350万バーレル(輸出の8割程度)を買っている。

ロシア原油の油種はウラルブレンドと呼ばれるロシアの各種原油を混合したものであり、一番の顧客はドイツ、そしてオランダ、ポーランドである。

欧州が輸入する他の原油は、日量ベースで並べると下記の様になる。

  • 89万バーレル、サウジアラビア
  • 81万バーレル、ナイジェリア
  • 58万バーレル、カザフスタン
  • 56万バーレル、リビア

他方、北海油田の生産は急速に減少しており、2013年で日量300万バーレルでしかない。これが所謂北海ブレントと言う基準価格の原油である――

160216kan01

(ア)2014年の国別原油生産量(推定値)のリストです。1位がロシア、2位がサウジアラビア。
(イ)欧州の原油輸入、輸入相手国別。
(ウ)ブレント原油を含む北海油田の産出量です。すでにピークを過ぎています。
(エ)オリジナルのブレント原油は一番下の濃青色の部分で、もうほとんど枯渇しています。しかし他に代わる基準油種がないということでブレント油種の基準価格が使用されている状態です。

Next: イラン原油もユーロ建てのみに。ドル建て売掛金もユーロで返済要求

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