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7pay大失敗の裏に有能幹部の不可解な左遷? ファミペイと明暗を分けた2つの失策=岩田昭男

7payを終わらせた2つの失敗

<失敗その1:「二段階認証」を導入しなかった>

7payの最初の失敗は、「二段階認証」を怠ったことだ。QRコード決済では通常、本人確認のためにSMS(ショートメッセージサービス)で数字などをユーザーに送って入力してもらう。これによってなりすましによる不正利用を防ぐ。これが二段階認証で、ファミペイもこの仕組みを取り入れている

ところが7payでは、この基本的ともいえるセキュリティ対策がなされていなかった。

その理由について運営会社の7payは、既存のアプリに決済機能を載せたためだと説明したが、そもそも大本のセブンアプリの安全性に問題(個人情報漏洩の危険性)があるのではないかということが、おそらく社内で取りざたされるようになったのではないか。

<失敗その2:「7iD」全会員のパスワードを強制リセット>

セブン側は7月末に、この問題に対応するためセブンアプリにログインするための「7iD」のパスワードをリセットすることを決定。7iDはグループのイトーヨーカドーやそごう・西武の会員にも使われているため、総数で約1,650万人にも達する。

この膨大な会員が突然パスワードの変更を迫られたことで、イトーヨーカドーなどの店頭では、顧客からの問い合わせが殺到し、従業員が対応に追われたという。これが7payの第二の失敗、躓きである。

致命的な失敗を2つも重ね、それが露呈し、経産省からは、「今のままでは消費税増税対策としての2%ポイント還元策への参加は認められない」と釘を刺されていたことから、「時間切れ」と判断して、7payを「強制終了」させたというのが真相だろう。

消費者第一主義を忘れ、顧客の利益や安全をないがしろにし、自社の都合を優先した結果だ。

有能な幹部社員を左遷させた不可解

このような技術的な問題が今回の騒動の原因の半分くらいを占めているとしても、その大本にあるのはセブングループの社風にある。

それを示す端的な例が、数年前に起きた「ミスターnanaco(と私は呼んでいた)」の左遷だ。

セブン・イレブングループの電子マネーnanaco(ナナコ)の開発に関わり、セキュリティからポイント、カードまで、システム・サービスのすべてを知り尽くしていた幹部が、突然、四谷の本社から地方のイトーヨーカドーに異動になったという噂が流れた。

これを聞いた誰もが驚いた。後日起きたクーデター、セブン&アイ・ホールディングスのカリスマ経営者だった鈴木敏文会長(当時)の退任劇に伴う権力闘争との関連を指摘する声もあったが、真偽のほどは定かではない。

いずれにしても、ミスターnanaco氏のような小売りと金融・決済、ITに精通した人物がいれば今回のようなお粗末な事件は起きなかったはずだ。これからのコンビニ経営にとって不可欠な人材をなぜ経営の中枢から遠ざけたのか、不可解であると同時に、非常に残念だった。

セブン&アイ・ホールディングス全体が、風通しの悪い組織になってしまっていることが、前代未聞ともいえる不祥事を招いた背景にあることはたしかだろう。

Next: nanacoに固執して出遅れたセブン・イレブン、対してファミペイは?

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