銀行の担保に入っているのは1,600億円という巨額さにびっくり
オーナー企業の経営者の年収など、いくら詮索してみても何も意味はありません。高額品を購入するなりなんなりご自由にしてくださいませ、というのが基本的な感想です。
ただ前澤氏の場合、必ずしもそうとはいえない状況が明らかになってきており、保有株をベースとした異常な借金による金の引き出しが今さらながらにその姿を現しつつあります。
前澤氏の保有株のうち、実に1,600億円分が金融機関からの借り入れの担保に入っているというのです。
今回Yahooに売却する保有株式30.37%は、直近の株価ベースならほぼ2,500億円弱となる見通しです。
また残りの6.29%についてもYahooは取得したいという意向のようですから、追加で500億円程度を手中に収めることになるのでしょう。
こうなると借金の返済と税金の支払いをすると、ほぼ彼の手元には700億円前後が残るものと思われます。
これだけでも十分な大金持ちといえるわけですが、この話の中で大きな問題と感じるのは、そもそも持ち株で巨額の借金をしていることです。
ZOZOにおけるもっとも大株主の経営者が別に金に困っているわけでもないのに持ち株を担保に借金しまくりで返済に窮する状況に陥るというのは、いくらなんでも常軌を逸するものがあります。
株価が暴落していたら一体どうするつもりだったのか?
上場企業経営者が自社株買いをして株価の価値を高め、ストックオプションを高値で売り飛ばすというのは最近では常態的に繰り広げられており、さすがに企業の自社株買いが米国議会でも大問題になりつつあります。
IPOを果たしたオーナー社長が持ち株を徐々に売り飛ばすというのはまだしも、持ち株を担保に最大その9割近くまで差し入れて借金をしていたという話はさすがに聞きしにまさるものがあります。
単に借金の額が人様よりも大きかっただけであると平然と説明する前澤氏の上場企業経営者としての倫理感が大きく問われる内容と言わざるをえない状況です。
個人投資家で言えば証拠金取引の話と似たようなもので、なにか問題があれば追証を求められるのと同じように、貸し付けた担保の株価が暴落などで大きくその価値を棄損することになった場合に、前澤氏は一体どうやって返済するつもりだったのでしょうか?