ZOZOの時価総額が高いと書いたのが、1年近く前でした。今回はヤフーによる買収とZOZOの企業価値…ではなく、前澤前社長は強運の持ち主と感じたことを書きます。(『億の近道』街のコンサルタント)
20数年間を金融(主に証券)会社で過ごし、投資銀行業務や事業育成の業務を担当。「金融機関に籍を置く(安全な)立場で客観的なことを言うより、いっそのこと経営者と同じ立場で事業拡大のお手伝いを出来ないものか」と思い立ち、2005年春に証券会社をリタイアしてコンサルティング会社を設立。
ZOZO前澤前社長は強運の持ち主
株価が大きく上昇した高値圏でのキャッシュ化に成功
前々回はヤフーによるZOZOへのTOBについて、孫社長からみずほFGへの手数料のプレゼントか?と、冗談交じりに書きましたが(笑)、次の成長の種を探していたヤフーにとっては大事なディールになりそうです。
ZOZOの買収はヤフーにとってメリットばかりではありませんが、やはり具体的なメリットは営業利益率の違いと、800万ユーザーとも言われる20代~30代へのアクセスですが、この2点を活かせるのか?に成否がかかっています。
ZOZOはヤフー傘下に入ることで財務面の後ろ盾を得られますが、今までのブランドイメージを維持できるのか?ヤフーとしては買収価格である時価総額8,160億円もの投資案件に見合うシナジーを発揮できるのか…と言う辺りが評価基準になると思います。今回の買収にその価値があるのか否か?
ZOZOの時価総額が高いと書いたのが1年近く前の10月下旬でしたから、これまたあっという間の1年でした。今回書きたかったのはヤフーによる買収とZOZOの企業価値…と言った投資の話とは別の話になりますが(汗)、前澤社長と言う人は強運の持ち主だなぁ~、と感じた辺りを書きます。
もちろん彼はこれまでも高額な報酬や配当収入を得ていましたが、昨年は借入れを含めて自社株の高値圏で数千億円もの社長個人の資金調達を成功させ、その後、今回のTOBに応じることで、その収入を確定させる(借金もゼロに)ことになります。
通常は事業を成功させたとは言え、大半の経営者は資産家と言われながらも幾らかなりとも自社株を現金化するには大変な労力を必要とします。つまり幾ら資産家と言われても上場している創業社長は簡単には株を売れませんから。
それがZOZO社長の場合には事業が拡大すると共に、折しも過剰流動性に影響された株価も大きく上昇し、且つその高値圏でのキャッシュ化に成功した訳です。
このTOBで保有株を売却できれば、結果として6%強の株式を手許に残しつつ(知り得る範囲では自社株担保の借入れ分を含めて)約2,500億円ものキャッシュを得るのですから、当初の投入額(元手)約1,000万円を約3万倍にした計算になります。
つまり事業家としての能力も高いのですが、同時に投資家としても素晴らしいレコードを残すことになります。一時は株価の下落により借金の返済は大丈夫か?といった噂も流れましたが、見事に克服しました。
孫社長もSBGの成長過程において、その溢れるばかりの能力はもちろんのこと、何度も難局を乗り越えた程の強運を感じました。もちろんそれらの強運は努力の結果としてしか現れませんが、今回は久しぶりに稀にみる強運な方を目撃しました。
さて、この2,500億円は高額な美術品収集や派手な生活費、および宇宙旅行に消えてしまうのか?いや既に消えてしまったのか?それとも次の事業育成に繋がるのか?この才能と強運の人の今後に興味があります。
image by: Instagram(yusaku2020)
『億の近道』(2019年9月26日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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