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政府の「買い支え」も3月末まで。粉飾相場の「素顔」を見よ=長谷川雅一

最近の日経平均は、夜間に安値を付けるものの、東京市場で回復するパターンの値動きが多くなっています。明らかに、政府の「買い支え」が効いているように思います。(『長谷川雅一のハッピーライフマガジン』)

プロフィール:長谷川雅一(はせがわまさかず)
1959年、岐阜県生まれ。株式会社プレコオンライン(金融商品取引業)代表取締役社長。2000年より株式投資の研究を始め、日本で初めて「株の自動売買」という言葉を使った著書を出版。株式投資の世界では、「株の自動売買」ブームの火付け役として知られている。現在は、自動売買ソフトの開発、投資教室、メルマガの執筆など、多忙な日々を送っている。

東京市場が強い本当の理由――上値を追うのは、ほどほどに

ECB利下げのあとの乱高下

3月10日(木)の夜10時過ぎから深夜にかけて、為替と株が乱高下しました。キッカケは、ECBの追加金融緩和(追加利下げ)でした。

ECBの利下げ発表後に、米ドル/円は113.50円付近から114.50円付近まで、100pips上昇しました。マイナス金利の幅が大きくなったことでユーロが売られ、ドルが買われる流れとなり、その影響が米ドル/円にも及んだわけです。

しかし、その後、ECBのドラギ総裁が、「さらなる利下げは想定していない」と発言したため、こんどは売られたユーロが買い戻され、米ドル/円も、ECBの利下げ発表前の113.50円付近まで反落。

さらに、そのままドル売りの流れが加速して、米ドル/円は、午前2時過ぎに112.60円まで下落しました。

この段階では、日経225先物も16,300円付近まで下落していました。3月11(金)の東京市場の終値より600円も安い値段になっていたのです。

乱高下の一因はHFT

このところの相場では、こうした急騰急落が目立ちます。乱高下の要因の1つは、HFT(ハイフリークエンシートレーディング=コンピュータによる超高速取引)です。

もともと相場とは、いったん、どちらかに方向が出ると、そちらに「行き過ぎる」傾向がありますが、HFTの取引量が多くなっていることで、その傾向に拍車がかかっている印象です。

また、各国政府が「金融緩和」という大義名分を掲げながら、「相場介入」をしていることも、こうした乱高下の一因ではないか、と考えています。

景気が悪いから株が上がる?

今、世界は「金融緩和競争」のまっただ中です。もともと景気が悪く、財政が悪化する中、各国政府がムリヤリお金をばらまいて、景気がよくなったように見せかけるのが「金融緩和」です。

しかし、経済不振の根本原因が「治療」されるわけではないため、いくら金融緩和をやっても、効果は限定的です。それなのに各国の政治家たちは、自分たちの(今の)評価を上げるために、金融緩和を続けています。

その結果、「景気が悪いから(金融緩和が行われて)株が上がる」という、奇妙な現象が常態化しています。

金融緩和には副作用があり、その「ツケ」は、どんどん未来に先送りされていますが、不思議なことに、「これはまずい」と言う人はいません。

魚を殺した「ママレモン」

僕が小学生の頃(昭和40年頃)、「ママレモン」という黄色い台所用洗剤が売られ始めました。この洗剤がブームになり、各家庭で盛んに使われました。その数年後、近くの小川から魚がいなくなりました。

当時、「下水」などありません。洗剤はそのまま川に流入し、魚を殺したのです。

しかし、この洗剤が使われ始めたとき、その害を言う人はいませんでした。むしろ「便利な洗剤が出た」と歓迎されたのです。

今の金融緩和も、これに似ていると思います。いつか大きな副作用に直面する日が来るのに、「今さえよければいい」と、誰も批判しない。

将来、今の金融緩和の副作用が出る頃、安倍さんや黒田さんは、とっくに表舞台から去っていて、優雅なご隠居生活を楽しんでいることでしょう。

彼らが責任を取ることはありません。責任を取らなくていいから、ムチャができるのです。

東京市場が強い理由

最近の日経平均は、夜間に安値を付けるものの、東京市場で回復するパターンの値動きになることが多くなっています。今日も、海外市場の安値から、600円以上もの「急騰」を見せました。

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