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シャープは最悪「上場廃止」も。鴻海との交渉をゲーム理論で考える=栫井駿介

最悪は上場廃止。そのリスクまで頭に入れて投資を

こうしてやりたい放題となった鴻海ですが、直近では「偶発債務」を理由に出資額の引き下げを要求しています。

鴻海は出資を含め総額で6000億円超の支援を予定しており、最大2000億円規模の減額案を提示した。ただ協議の中では減額幅を1000億円にするなど大幅圧縮の意見も出て調整が続いている。出資額が減った場合でも株式の買い取り価格を引き下げ、出資比率は当初予定の66%になる見通し。

出典:鴻海とシャープ主取引銀、長引く協議 融資返済期限延長へ – 日本経済新聞

偶発債務は恐らく交渉を有利に進めるための難癖でしょう。出資額は抑えながら、議決権の3分の2である66%は抑えたいということで、ケチケチ戦略が幅を利かせています。

議決権比率66%を確保したまま普通株出資分の1,000億円を減額しようとすると、株式の発行価格は88円となります。本日(2016年3月23日)の終値が130円ですから、鴻海は約3割値切って株式を取得しようとしているのです。もちろん、既存株主からみれば株式価値の毀損となります。

さらに言うと、鴻海にとって最も望ましいのは、既存株主を全て排除して債務も減額することです。そのためには、民事再生法(または会社更生法)を適用し、100%減資することが最良の方法となります。その後に出資すれば、出資金額に関わらず両方が達成できるだけでなく、再建もスピードアップが望めます。

民事再生法が適用となった場合、シャープは原則として上場廃止となります。あくまで最悪のケースですが、そのリスクまで頭に入れて投資を考えるべきでしょう。

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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2016年3月23日号)より

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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