なぜ信用取引が危険なのか?
ここで改めて信用取引について考えてみます。
会員の方からもしばしば「信用取引はどうですか?」と聞かれますが、私はおすすめしません。特に、株式投資に慣れていない人は決して使うべきではありません。
信用取引とは、担保を預けることで「借金」をして、担保の3倍程度まで取引できるようになることです。例えば、100万円の現金を担保に入れて、200万円分の取引を行うという具合です。
上記はいわゆる「2倍」の取引です。これにより、銘柄に投資していたとしても、損益は2倍に膨れ上がります。10%上昇すれば20%の利益、10%下落すれば20%の損失になります。
これだけなら、単に損益の幅が拡大するというだけで済みます。ハイリスク・ハイリターンの取引で、「うまくいけば」大きく儲けることができるわけです。
しかし、信用取引で本当に危険なのは「追証」(追加保証金)が発生した時にあります。
2倍の取引をしていると、株価が25%下落すると追証が発生してしまいます。(現金担保、委託保証金維持率25%の場合。)すると、取引をやめるか、追証を支払うかの選択を迫られます。
2倍ですから、株価が25%下落しているということは、あなたの損失は50%、元手が半分になってしまっているということです。
ここで多くの人は冷静さを失ってしまいます。すなわち、50%の損失を確定させてしまうよりも、まだ株価が復活することに賭けてしまうのです。
しかも厄介なことに、「自分は大丈夫」だと思っていたとしても、人間心理的に損失を確定させるのは相当辛いこととになりますから、その不快感から大多数が復活に賭けてしまうのが現実です。本能には逆らえません。
追証を支払ったが最後、泥沼にはまってしまいます。一度追証ラインに抵触すると、わずかな下落で再び追証が発生することになります。そうこうしているうちに、やがて手を付けてはいけないお金にまで手を出してしまうのです。
以上が信用取引の危険性です。これを理解していれば、不用意に信用取引に手を出すことはなくなるでしょう。
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