中国と同盟目指す文氏の迷い
実は、文氏が外交的に「盲目状態」であることを指摘したい。
先の台湾総統選で、現職の蔡氏が過去最高の得票数で再選を果たした。蔡氏は、中国の唱える「一国二制度」がまやかしであると国民に訴えて共感を得た結果だ。
これは、香港が「一国二制度」でありながら、現実は「ウソ」であり民主化デモが勃発した。この香港の例から見て、台湾はその二の舞を避けるという蔡氏の主張が勝利を得たのだ。
この総統選では、「台湾の自由を守る」という旗のもとに、海外留学中の学生や、海外で生活している人たちが自弁で帰国して、蔡氏に一票を投じた積み重ねが大勝をもたらしたもの。香港の混乱を見れば、自由の有難みが嫌と言うほど分かるのだろう。
「蔡英文を救ったのは、今度も『香港デモ』だった。台湾人は、民主と自由の価値のため血を流して闘う香港市民を見て『カネより重要なもの』を痛切に感じた。腹いっぱいになったブタにはなれない、というわけだ」(『中央日報』1月19日付コラム「台湾も拒否した中国との運命共同体」)
台湾の人々は、中国の唱える「一国二制度」が、秦の始皇帝が採用した「合従連衡」の現代版であることを直感で知ったに違いない。秦は、相手6ヶ国を統一する手段として、相手の「同盟」を崩し、秦と一対一の「連衡」に持ち込み、結果的に相手を征服する二段構えの外交戦術を取った。
習近平氏は、香港で用いた手段を台湾でも実行しようという魂胆であった。それが、蔡氏に見破られたというべきだ。
文在寅氏は、それを知ってか知らずか、「中国と同盟関係になりたい」と言った。オオカミの前に獲物を差し出すような愚かな話に聞える。民主主義国の大統領が、専制政治の独裁者に向かって言うべき言葉でない。
米国と同盟を組んでいる韓国元首が、きわめて軽率、不埒な発言をしている。先にも指摘したように、文氏の潜在意識が言わせたものであろう。これでは、5000万韓国国民の命運を担う大統領として失格である。
文氏は、中国の人口が昨年14億を超えたことに畏怖の念を抱いているのかも知れない。この世界一の人口大国の中国が、米国を上回る経済規模(GDP)になると誤解をしていると思われる。
これが、同盟国の米国から抜け出て、中国の陣営に加わるという長期戦略を描かせているに違いない。
これは、完全に中国の潜在的な成長力を見誤っている――
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経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。