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【展望】円高一服なら株価反発も、上値追いは来週以降の「お楽しみ」に=馬渕治好

盛りの花~世界経済・市場の注目点

マイナス金利導入失敗を指摘する声と、海外投資家の考えとのギャップ

3/31(木)に、メガバンク3行が、4月から一部の住宅ローン金利を引き上げる、と発表しました。三菱東京UFJは、単にこれまでの金利キャンペーンが終わったから、という理由ですし、みずほや三井住友は、年限によって金利を上げるものも下げるものもあるのですが、日銀が各行の日銀当座預金にマイナス金利を課すため、その負担を顧客(ローンの借り手)に付け回すものだ、との観測が浮上しています。

既に行なわれつつある預金金利の引き下げも、銀行が負担分を他者に転嫁するものであり、銀行も私企業ですからそれが悪いわけでは全くありませんが、日銀のマイナス金利導入の弊害が表面化している、と解釈できます。

もともと量的緩和も、これ以上国債の買い入れ額を増やすには限界に近い状況になってきており、既に日銀ができることには限界が見えてきていると感じます。

ところが依然として米系投資家を中心とする海外投資家からは、「日銀は今度は何をするんだ!」という問い合わせが多いです。「もう何もできないと思うけど、具体的に何ができるか挙げてみたら」と、こちらから返すと、「う~ん、じっくり考えてみると、確かにもう手はないと思うけど、それでも手はないのか?」と聞いてきます。

なぜそこまで日銀の今後の政策に執着するかというと、実際に日銀の金融政策が経済に効くかどうかは別として、たとえば2013年4月の「異次元の緩和」が、市場を一気に動かしたため、日銀のこれからを警戒しておかないと、投資で大いに損失を出すかもしれない(あるいは利益を取り逃がすかもしれない)と、海外投資家が考えているためです。

このように、過去にサプライズがあったため、またサプライズを打たれないかどうか、気になって仕方がない、という投資家の声は、日銀も承知していて困っているようなふしがあります。このため日銀内でも、「黒田総裁のサプライズ路線は失敗だったのではないか」との批判の声が出ているように感じます。

また、「何か日銀がやるかもしれない」と考えている海外投資家が、「やっぱり日銀は何もできないようだ」と考えを変えた際に、どういう投資行動を海外投資家がとり、それが各市場にどういう影響を生じるかは、大いに懸念されます。

Next: 理解の種~日銀が四半期ごとにまとめる「さくらレポート」とは?

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