fbpx

実は中国格安スマホが最先端?注目企業「OPPO」「VIVO」創業者を育てた段永平の才覚=牧野武文

段永平の家族も地方の農村へ

段永平の両親は教師であったため、インテリの若者と認定され、江西省の井岡山に下放となりました。その子供である段永平もついて行くしかありません。井岡山は、毛沢東の紅軍が最初に根拠地とした場所で、中国では最も重要な聖地になっています。しかし、段永平親子にとって決して暮らしやすい場所ではありませんでした。

両親はやったこともない農作業をせざるを得ません。インテリ家庭に育ち、勉強好きだった段永平にはまともな教育が与えられませんでした。段永平が割り当てられた小学校は、1年生から3年生までが一緒の複式学級で、校舎はボロボロだったと言います。しかも、授業は国語と数学の他は、民間医療、農機具、気象など農業に役立つ内容ばかりでした。学校が終わると、寝るまで農作業を手伝わされます。小学校の間は、ずっとそのような生活を送ることになりました。

そのような生活の中で、段永平は暴れん坊に育っていきました。石を投げるのが得意で、飛んでいる鳥に石を当てて落とすことができました。もちろん、食べるためです。それだけではなく、他人が飼っているハトも石で落として食べました。さらには、当時農村では珍しいガラス窓を見つけると、遠くから石を投げて割り、逃げるということを繰り返していました。いたずらであるのか、怒りをぶつけているのか、おそらくその両方だったのでしょう。

1977年、段永平16歳の時、中国政府は全国統一入試である「高考」を復活させました。これは、全国で統一された大学入学試験を行い、成績順で希望の大学に入学できるという制度です。出身高校のランクは関係ありません。高校までの成績も関係ありません。試験で高得点を取りさえすれば、一流校に入学できるという一発勝負です。

段永平は地方の教育水準の高くない学校に通い、高校までは進学したものの、そのままでは大学に進めることはあり得ませんでした。そもそも、大して勉強などしていなかったのです。それが試験で頑張れば一発逆転ができる。

その年、段永平は570万人の受験者に混ざって高考を受けました。しかし、得点は80点。4科目で80点です。どこの大学にも進学できませんでした。大失敗です。

そして、翌年、もう一度受験しました。今度は5科目で400点以上という好成績でした。1年間の受験勉強が功を奏し、現在でも名門校とされている浙江大学に進学することができました。ここから段永平の運命が開けていきます。

続きはご購読ください。初月無料です<残約7,300文字>

こちらもおすすめ!牧野武文氏の人気記事

アリババ創業者ジャック・マーの知られざる半生と成功のルーツ(1) いじめ、ケンカ、恋の果てに
Amazonや楽天も潰される?中国第2位のECに急浮上「拼多多」とは何者か
いつ日本のスマホ決済は中国に追いつくのか?アリペイに学ぶ「爆発的普及」の条件

<初月無料購読ですぐ読める! 6月配信済みバックナンバー>

※2020年6月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。

2020年6月配信分
  • vol.022 OPPO、vivoを生んだ歩歩高とその創業者段永平(6/1)

いますぐ初月無料購読!

image by:Potential Filmmaker | xcarrot_007 / Shutterstock.com

※本記事は有料メルマガ『知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』2020年6月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>

※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込550円)。

2020年5月配信分
  • vol.021 感染拡大で実戦投入された人工知能テクノロジーの数々(5/25)
  • vol.020 経済復活の鍵は「ライブEC」。感染拡大から広がる新たな販売手法(5/18)
  • vol.019 生き残りを賭ける飲食業。鍵は「外売」(デリバリー)(5/11)
  • vol.018 ニューノーマル。終息後の新日常は、以前とどう変わるのか?(5/4)

2020年5月のバックナンバーを購入する

2020年4月配信分
  • vol.017 アリババとテンセント。ECビジネスをめぐる衝突(4/27)
  • vol.016 敗走するアマゾン、カルフール。理由はグローバルとローカルの衝突(4/20)
  • vol.015 中高年にスマホ決済を浸透させた台湾庶民派スーパー「PX Mart」の取り組み(4/13)
  • vol.014 1日で4.1兆円売り上げる「独身の日」は、どのように生まれたのか?(4/6)

2020年4月のバックナンバーを購入する

2020年3月配信分
  • vol.013 1日で420億円の商品を売る。網紅の桁外れの販売力の仕組み(3/30)
  • vol.012 広告メディアとしてのTik Tok。その驚異のコンバージョンの秘密(3/23)
  • vol.011 人口ボーナス消失とZ世代。経済縮小が始まる(3/16)
  • vol.010 中国テック企業は、新型コロナとどう戦っているか(3/9)
  • vol.009 潜在顧客を掘り起こし、リピーターを育成するモバイルオーダー(3/2)

2020年3月のバックナンバーを購入する

2020年2月配信分
  • vol.008 新小売戦略の要となったフードデリバリー「外売」(2/24)
  • vol.007 ミニプログラム活用で新規顧客を獲得する店舗小売(2/17)
  • vol.006 中国のEVシフトは成功なのか。それとも失敗なのか?(2/10)
  • vol.005 第2位のECに浮上した拼多多とは何ものか?(2/3)

2020年2月のバックナンバーを購入する

2020年1月配信分
  • vol.004 ファーウェイと創業者、任正非(1/27)
  • vol.003 シェアリング自転車は投資バブルだったのか(1/20)
  • vol.002 アリペイとWeChatペイはなぜ普及をしたのか(1/13)
  • vol.001 生鮮ECの背後にある前置倉と店倉合一の発想(1/6)

2020年1月のバックナンバーを購入する

1 2 3 4 5

知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』(2020年6月1日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード

[月額550円(税込) 毎週 月曜日 発行予定]
急速に発展する中国のITについて、企業、人物、現象、テクノロジーなど、毎回1つのテーマを取り上げ、深掘りをして解説をします。

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー