なぜ株価が下がっているのか?
これは直近5年の利益の内訳で、濃い部分がベース利益、つまり常に得られる利益です。
薄い方が売却益で、会社などを買ってそれを売却して利益を得たりするのですが、会社を売るというのも結局は株式市場と同じようなもので株価の高い時に売れば高く売れますが、そうじゃない時は損が出るから売れなかったり、安い価格でしか売れなかったりします。
場合によっては持っているものが評価損、含み損になってしまうということもよくあります。
従って売却益はここ5年では、比較的株価が高かったり景気が良かったりして、安く買った物が高く売れていたのですが、新型コロナによって景気が悪くなり、また株価が下がってくるとこの売却益が見込めなくなります。
従って3分の1ぐらいの利益は幻になるのではないかということができ、もっと利益が下がるのではないかと投資家は見越しています。
また、新型コロナウイルスの影響というのは直接的な影響も甚大で、行っている事業を見ますと不動産運営や賃貸、ホテル、旅館と、言うまでもなく今外国人が少なくなり、もはやお客さんは入っていないという施設もあります。
それと、最近運営を始めたもので『コンセッション』と言って、 関西国際空港と伊丹、それから神戸空港という3空港を国からの委託で運営して、そこで利益を上げていましたが、海外渡航する人はおらず国内旅行も鈍っている状況ですから、ほとんど利用されていません。
当然利益を上げるのは難しくなっていきますから、今後損失が想定されることになり、いつ復活するかもわかりません。
航空機リースも同様です。
空港だけではなくて航空機も持っていて、航空会社に貸し付けて航空会社が飛行機を持っている限りその貸付料は貰えますが、その会社が倒産してしまったら飛行機は帰ってくるものの、飛行機を次に転売する先がなくて儲からない飛行機を持ち続けるということになり、その間に機体自体も老朽化していったりします。
よって当面厳しい状況が続くだろうと考えられます。
レンタカーなども厳しいことになっていて、新型コロナが続く限り業績は厳しいと考えられます。
また株主還元について配当利回りが高いと言いましたが、5.8%という数字は実は昨年の配当に対する利回りという形で計算しております。
利益が減るということは当然それに合わせて配当金額が減少することになります。
どれくらい減少するかということですが、今回は配当性向を50%まで引き上げると言ってはいますが、一方で純利益は3,000億円から1,000億円までおよそ3分の1になるというようなことが想定されています。
よって、通常30%程度の配当性向を50%に引き上げても、そもそも元となる純利益が減少してしまっていますから、トータルでやはり減配になってしまう可能性が高いです。
中間で約35円出したとしても、期末には限りなく無配に近い水準となってしまうことが計算されています。
従ってオリックスが目先株価が下落している要因は、一時的な利益の剥落、投資したものが評価損になってしまう逆回転が想定されるということ、それから事業そのものも新型コロナの影響は甚大であるということ、さらには株価の支えとなっている配当も減配リスクがあるということで株価が上がらない状況となっているわけです。