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アベクロ体制崩壊が暴落リスク。日銀、コロナ感染者急増を事前に知って株価を買い支えか=江守哲

日本株の投資戦略の考え方

短期トレード戦略は、TOPIXが弱い。そのため、10日の夜間取引で先物をショートしたが、米国株の上昇で評価損が出ている。このまま日中取引で下げなければ残念ながらロスカットである。ここ最近のショートはあまり上手くいっていない。下げてもすぐに戻すからである。

しかし、下げの初動をとることも重要であり、コストと考え今後も下げた場合にはショートを繰り出すだろう。下げると日銀が買うため、日本株特有の事情ではなかなか下げない。やはり下げるのは海外市場が崩れたときである。この状況をわかっていても、やはり突発的に下げたときにはいったんショートすることは継続したいと考える。

また、NT倍率が高水準を維持している。これも日経平均株価の下落リスクにつながる。ただし、前述のように騰落レシオが低い。この点を考慮すれば、日経平均株価は下げにくいだろう。とはいえ、TOPIXの相対的な弱さは無視できない。今週は重要な日柄に入ってくる。TOPIXの動きに注目しておきたい。

長期ポートフォリオ戦略の考え方はまったく変わらない。すでに保有している長期ポジションは保有し続ける。次の押し目買いのターゲットはかなり下の水準である。その水準に近づいたところで検討することにしたい。ただし、BPSが2万1,229円まで上げている。下げにくい状況は続きそうである。ここまで下げてくれば、まずは買いを検討したい。BSP以下の水準は押し目買いの好機になるだろう。

また、PBRが0.8倍に近づくような下げになったときも、買いを検討することになるだろう。いまの時点では1万7,000円であろう。これより下はあまり考えなくてもよいだろう。

相場は何があるかわからないため、常に資産全体の3割は現金で残しながら、安値での買いに備えておきたい。すべての資金を現時点で投資することは避けるべきである。投資機会は必ずやってくる。焦って高値を買わず、深い押し目を待つことが長期投資を行ううえでもっとも重要なことである。BPS以下になれば、徐々に買い下がっていくための資金は、常に手元に残しておく。投資可能な資産の3割を現金にしておけば、大きな下げで買い出動ができる。

海外勢は売り越し

東証が9日発表した投資部門別株式売買状況(東証、名証の2市場合計)によると、7月1週(6月29日−7月3日)は海外投資家が4週連続で売り越した。売越額は1,086億円(前週は4,852億円)に縮小した。証券会社の自己売買部門も2,760億円の大幅売り越し。信託銀行はほぼ一手買いとなり、2,732億円の大幅買い越しだった。

信託銀行の買いについては、年金基金のリバランス買いとみられている。6月の月間では、海外投資家が8,418億円の大幅売り越し。買い向かったのは証券自己と信託銀行で、買越額はそれぞれ8,874億円と3,318億円。個人と事業法人は売り越しだった。

レンジ相場はいつまで続くか

現在のドル円と日経平均株価の関係はほとんどない。ドル円が動かない中で、日経平均株価も上下にレンジで動いているだけである。これでは仕掛けられないといえる。

このような動きに対して、日銀のETF買い入れへの恨み節も聞かれそうである。結局、株価を操作すれば、「市場のダイナミズム」が失われ、相場は動かなくなるということである。これでは、企業の成長性までも阻害されてしまう。結局、日銀がまったく想定していなかったことが起きているわけである。

マイナス金利でも企業の資金需要は増えず、デフレは完全には払しょくされていない。そして需要不足で再びCPIはマイナスになっている。

コロナ禍での一時的な現象といえるのかもしれないが、これで需要が戻らなければ、民間の貯蓄がファイナンスする構図はまったく変わらず、非効率な経済の状態が継続され、「統制経済」の中で低成長を受け入れざるを得なくなるだろう。無論、株価も上がらないということになる。

こうなると、外部ショックで下げたときに買わなければ、安い時に株を買うことはできない。下げると日銀がすぐに買い支えるため、安値を買うチャンスがないからである。

したがって、深く押すのを待っていると、買い場を逃す可能性がある。この点は日本株を投資する際にはきわめて重要なポイントになる。

「社会資本主義」に移行した日本の株価は、大きく下げはしないものの、上げることもない。低成長を受け入れるのは社会資本主義の基本である。非効率な市場になることを受け入れなければならない。

Next: 8日の市場で噂されたのは、日銀のETF購入に関する思惑である。東京都の――

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