新型コロナウイルスの影響で多くのダメージを受けている広告業界。今回は、その中でも広告単価がどの程度落ちているのかについて、さらに詳しく見ていきます。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2020年7月28日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。
広告単価はどれくらい落ち込んでいる?
今回の記事では、コロナウイルスが広告ビジネスに与える影響の中でも、これまでの記事で見てきたような広告売上だけではなく、さらに踏み込んで広告単価まで詳しく見ていきたいと思います。
過去の記事をご覧いただいた方は覚えていらっしゃるかもしれませんが、コロナウイルスの影響で、広告ビジネスにおいては前年同期比で−20%から−30%程度、売上にダメージがあることが判っています。
一方で、コロナウイルスによってメディア接触時間が増えているケースが多く、多くのメディア企業において、ユーザー数やページビュー数は増加傾向にあるにも関わらず、広告単価、つまりユーザーあたりの売上やページビュー単価が落ちて、広告売上が全体として落ち込むという傾向にある、というのが一般的です。
だとすると、実際に広告単価がどの程度落ちているのか知りたくなりますよね。
ということで、この記事では、グノシー、GameWith、UUUMという3社のデータを用いて広告単価の落ち込みを具体的に見ていきたいと思います。
Gunosy Ads(アドネットワーク)の場合
始めに、グノシーの例を見ていきたいと思います。グノシーの場合は、Gunosy Adsという自社メディアの広告ビジネスと、アドネットワークの2種類の広告ビジネスがあります。
※参考:株式会社 Gunosy 2020年5月期 決算説明資料(PDFファイル)
始めに四半期別の売上を見てみると、Gunosy Adsの方は約16億円、アドネットワークの方は5.3億円となっています。
前四半期との比較で言えば、Gunosy Adsが約20%の減収、アドネットワークは広告ガイドラインの刷新の影響もあるとはいえ約6割の減収と、大きく落ち込んでいます。
ユーザー数はYoY+12%と伸びていますので、冒頭に書いた通り、ユーザー数が伸びているにも関わらず売上が落ちている、つまり広告単価が大きく下落しているということが考えられます。
アドネットワークの方は、このスライドにある通りインプレッション数が非常に大きく落ち込んでおり、広告単価CPMが大きく落ち込んでいます。
具体的に計算すると、Gunosy Adsの方では、広告単価が前年同期比で約−3割ほど落ち込んでいることになります。アドネットワーク広告単価は、約−5割落ち込んでいることが読み取れます。
広告ガイドラインの刷新という影響もありますが、やはりアドネットワークの方が、自社メディアへの広告配信ビジネスよりも大きく落ち込んでいるというのは間違いないと言えるでしょう。
このスライドにある通り、4月以降の広告主の数が大きく落ち込んでいるのが、広告単価の下落の最大の要因だと言えるでしょう。
またこのスライドにある通り、広告主の構成も大きく変わってきているのが特徴的です。右側の広告主の構成は、コロナウイルス後の新しい広告産業の在り方のヒントになるかもしれませんので、数字を頭に入れておくと良いかと思います。