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“菅新総理”のスガノミクスは財務省に勝てる?誰もが嫌がる安倍政権の尻拭い=澤田聖陽

日本は「オールドエコノミー」のまま進歩せず

個人的には、安倍政権は、経済・金融分野に関しては及第点だと考えています。特にマーケットの観点から見ると、安倍総理は投資家にとって非常に有能な総理だったと言えます。

一方、在任期間中に中長期の日本経済のグランドデザインを示し、構築できたかというと疑問符が付きます。

通常の経済運営では及第点であったが、日本経済の変えるべき仕組みの変化を起こすことはできなかったということだと思います。

アメリカはここ10年で、GAFAMのようなIT企業が株式時価総額上位を占めるような構造の変化を起こしました。中国もアリババやテンセントのような企業が巨大企業に成長しました。

一方、日本は相変わらずオールドエコノミーが経済の中心で、アメリカや中国のような大きな構造変化が起きたとは言い難い状況です。同期間中にアメリカや中国がイノベーティブな構造変化を起こしたのと比べると物足りなく見えます。

安倍政権は、通常の経済運営は及第点であったが、日本経済の構造の変化を起こすことはできなかった、実務畑では優秀であったけど、新しいものを作り上げるような創造性には欠けていたというのが、私の評価です。

これは安倍政権がというよりは、日本経済、日本の社会全体が陥っている状況と言えるかもしれませんが。

誰もが本当はやりたくない?「ポスト安倍」が日本の命運を握る

また今年に入ってから、コロナで状況が大きく変わりました。

今はまだコロナ対応の真最中の状況ですので、コロナ対策をしながら経済の悪化をどれだけ防げるかという目先の対応に全力を注ぐ段階です。

ただコロナ終息後は(消息が見えてきたら)、アフターコロナの新しい成長モデルを示す必要があります。

安倍総理にはここまでやっていただきたかったのですが、ご病気ですので大変残念ですが、しょうがないですね。

すでにポスト安倍が誰になるかという報道で盛り上がっています。今の自民党総裁の任期は来年9月いっぱいまでですので、残りの任期は約1年です。

何人か候補者の名前が取り沙汰されていますが、候補者の多くが手は上げるけど、このタイミングでやりたくないというのが本音じゃないかと思っています。

いま総理をやっても、コロナ下で何らかの失敗があれば大きく叩かれるし、任期が短いわりにメリットが無い。来年の自民党総裁選で3年の任期で当選したいというのが候補者の本音でしょう。

ただ今回の総裁選でエントリーもしないと、重要な局面で逃げたというイメージになり、来年の総裁選の目もなくなるので、名前だけは刻んでおかなければいけない。

そんな背景もあるので、私は菅官房長官か麻生副総理(麻生さんは現時点では出ないと言っているようですが)が繋ぎで来年の9月まで務めるのが本命だと思っています。

このお二人はご年齢も70歳を超えていますし、短期でも総理をやった(麻生氏は既に一度やっていますが)という実績を残したいでしょうし、危機の時に総理を引き受け、若い世代に譲ったというような良いイメージを得て引退したいという思いもあるでしょう。

個人的には菅官房長官が本命ではないかと思いますが、ご本人が受けるかどうかわかりませんし、政治のことは予測不可能なことが起こりますので、結果を御覧じろといった感じです。

Next: アベノミクス継承は既定路線。問題は「財務省」との関係性

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