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米国のジャパンハンドラーが画策?持病悪化だけではない安倍辞任の真相=高島康司

安倍辞任の背景に、アメリカの戦略転換

このように、特に「CSIS」が日本に向けて出すレポートの政治的な影響力は非常に大きいものがある。日本の政権の方向性を実質的に変更するほどの力があると見てよい。今回の安倍首相の辞任の背後には、「CSIS」のこうしたレポートの力が働いていた可能性はやはり否定できない。

ではなぜ、トランプ政権は安倍首相の辞任を望んだのだろうか?

実はいまトランプ政権は、中国封じ込め策へと転換し、そのための世界戦略の再編成を始めている。中国やロシアとの比較的に近い関係を維持する安倍政権では、この新戦略を実施するのは不可能であると見られたからだ。

中国に対して軍事的に脆弱なアメリカ

ところでオバマ政権は、特に南シナ海で拡大を続ける中国を抑止するために、中国軍の「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」を目的にした次の2つの軍事戦略を持っていた。

1)エアシーバトル

中国本土のミサイル基地や空軍基地を攻撃して、中国軍の反撃能力を奪う。

2)オフショア・コントロール

米空母機動部隊で「第一列島線」を全面的に閉鎖し、中国を経済的に封鎖する。そして中国の弱体化をはかる。

この2つの戦略である。

しかしどちらの戦略もアメリカには勝ち目がないことがはっきりした。どのようなシミュレーションを使っても、アメリカ軍に勝ち目はない。

まず(1)の「エアシーバトル」だが、中国本土のミサイル基地や空軍基地は地下深くに存在する。そのため、空爆による破壊は不可能なので、中国は反撃能力を温存する。中国は空母キラーの「東風21」や、グアムや日本の米軍基地も射程の範囲にある「東風26」で攻撃し、米空母機動部隊と米軍基地を壊滅できる。米軍基地の施設は地下ではなく地上にすべてあるので、中国のミサイル攻撃には無防備だ。「エアシーバトル」のように下手に中国本土を攻撃すると、アメリカは負ける。

また(2)の「オフショア・コントロール」も実現は難しい。中国は「一帯一路」でユーラシア全土を包含する経済圏をすでに構築しているため、「第一列島線」を閉鎖するだけで経済封鎖はできない。陸路からエネルギーや食料は輸入可能だ。中国はそのまま経済力も軍事力も温存する。

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