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日本経済は「負けが九分に勝ちが一分」の大ピンチ。いま瀕死の業種とは?=斎藤満

営業利益は6業種で赤字

営業利益でみるとこの変化がより顕著に出ています。

全産業での営業利益は、1-3月の30.9%減益から4-6月は64.8%の減益となっていますが、製造業では31.1%の減益から91.2%の減益と、ほぼ利益が消えています。そして製造業の11業種のうち、1-3月は石油・石炭業だけが赤字だったのに対し、4-6月は輸送機械の8700億円を筆頭に5業種で営業赤字になっています。

一方、非製造業では運輸・郵便業で1兆円の赤字となったのが目立ちます。空運や新幹線など鉄道会社の利益が大きく圧迫されたことによります。非製造の赤字はこの1業種だけですが、サービス業は62.5%の減益で、何とか黒字は維持しました。全体では19業種中6業種で赤字となりました。

半面、情報通信業では前年比3.5%の増益となる1兆7千億円余りの利益を上げ、製造業では情報通信機械が前年比約6倍の利益を上げています。米国では小売りの中でもウォルマートが好調で株価も上げていますが、日本の卸・小売り業の営業利益は1-3月の33%減益に続き、4-6月は60%の減益と、苦戦しています。

明暗分かれるといいながら、日本では圧倒的に「暗」が主流で、「明」は一部に限られています。

自動車に代わるリーダーが必要

米国ではグーグル、アップルなどに代表されるいわゆる「GAFA」だけで、その株式時価総額が日本の全株式の時価総額を上回るほどで、米国経済や株式市場をけん引しています。トランプ大統領はこれらを煙たく思い、批判していますが、現在の米国経済のリーダーであることに違いはありません。もうGMやユナイテッド航空、ボーイングに頼れる時代ではなくなりました。

これに対し、日本経済はこの40年近く、自動車産業に支えられ、いまだに自動車をトップとするピラミッド型経済で、素材から半導体、コンピューターなど、多くの業種が自動車向けに仕事をしています。

残念ながら日本には「GAFA」が出現せず、IT化は特に遅れ、産業構造の変革が進んでいません。「親亀(自動車)こければ皆こける」パターンになっています。

幸い、自動車業界自身が危機感を持ち、新しい分野に進出を考えています。例えば、ドローンと自動車を組み合わせた空飛ぶ自動車(タクシー)が現実化しようとし、また水素電池などのエネルギー開発も進んでいます。生活空間としての楽しさを目指しており、車を超えた変革も進んでいます。

Next: 世界は不安であふれている。日本はビジネスチャンスに変えられるか?

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