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東証トラブルで露呈した日本社会の急所。再発防止より重要なこと=高梨彰

東証のシステム障害は、日本社会全体の課題を浮き彫りにしました。東証は「再発防止に万全を期す」としていますが、改善すべきは「トラブル発生時に次善策も打てない」ことです。(『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)

※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2020年10月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:高梨彰(たかなし あきら)
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。

東証システム障害、「中長期的な影響は軽微」と言うが…

10月1日、東証(東京証券取引所)のシステムが止まりました。

市場でシステムトラブルが発生すると、「短期的には株の売り要因だが、中長期的な影響は軽微」という市場関係者の話が判を押したように毎回、出て来ます。間違いじゃないと思いますが、「短期的」と「中長期的」の期間(経過時間)の意味が過去と現在では全然違います。

今回の場合、「短期的」は「システム障害が周知されるまで」です。今はスマホの通知機能で直ぐ知ることができます。市場やニュースに関心がある人ならば、周知は数分から掛かっても数十分。1日経った今、「短期的」な期間はすでに過ぎ去りました(編注:原稿執筆時点10月2日)。

「中長期的」が「短期的」の延長にあるならば、10月2日時点ではすでに「中長期的」。ということで、システムが稼働すれば、システム障害自体は過去の話となります。9月31日・10月1日の2日間、海外株が堅調だったので、日本株も値を上げての寄り付きとなりました。

トラブルシューティングの「勘違い」が日本企業の課題

そうは言っても、今回のシステム障害には気になるところもあります。誰もが感じる点かとは思いますが、「トラブルシューティング、BCP(事業継続計画:Business Continuity Plan)はどうなっているの?」です。

会見等の話では、「予備システムへの移行が上手く行かなかった」とのことです。しかし、「上手く行かなかった」時にどうするかが、本当のトラブルシューティングのはず。

現場のエンジニアやシステム担当の方々は今も悪戦苦闘しているはず。しかし、システムというか組織として、「マズい事が起きた時からの回復」や「ゼロから試行錯誤を重ねつつ、新たなものを生み出す」機能が根本的に不足している気がしてなりません。

会見にもその一端が窺えます。曰く「再発防止に万全を期す」とのことですが、この「再発防止」の発想自体が「トラブルを起こさない」に終始している感じです。

本当に「再発防止」しなきゃいけないのは、「トラブル発生時に次善策も打てない」ことです。この感覚が全くありません。

これも大企業病というか、「右へ倣え社会」の弊害ではないでしょうか。受験に始まり、資格試験や昇進試験、はたまた上司への気配りや「忖度」など、与えられたレールに沿った人ばかりが上司となり経営者になってしまっているのではないかと。

「経験」って「失敗のち成功」の過程を経たことだと思うのですけど、組織を率いる人々が試験や忖度の「成功」しかしていない人ばかりになっているのではないかと。そんな気がします。

Next: 情報提供も遅かった。再発防止に加え、事故発生時の対応を改善すべき

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