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株か債券かGoldか?米大統領選後を見据えるシーゲル博士とガンドラック氏=江守哲

ガンドラック氏の見解

「債券王」のダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏は、米国株が大幅な下落を迎えるとし、その後の深刻な不振を予想している。

ガンドラック氏は「株式市場は18か月のうちに激しく破裂する。もうしばらく回避したいのだろう。次のメルトダウンが起これば、米国はパフォーマンスが最悪の市場になるだろう。その大きな要因はドル安である」としている。

ガンドラック氏は近年、ドル安と米国株市場の深刻な不振を予想してきた。コロナ危機では株式の空売りで収益を上げたとされているが、その後も戻り局面での空売りを公言していたが、弱気な見方を続けており、ポジションも維持しているようであれば、大きく損失を出している可能性がある。

そのガンドラック氏は、10月に入ると、資産を4つに配分することを奨めている。高格付債券、株式、金、現金に4分の1ずつというものである。どこかで聞いた話である。まさに、私が勧めてきた配分に近い。ガンドラック氏は、「今では資産の25%を金で持つことが、バカげた考えでなくなった。また、25%を現金で持つのもバカげたことでない」としている。長期投資の先としての米国株を信じる人たちには、長い間、株式と債券の割合を60:40で保有するポートフォリオが奨められてきた。これは、シーゲル教授も指摘している点である。

しかし、これと比べてガンドラック氏の推奨は大幅に株式が少なくなっている。また、金が25%も入っている。ちなみに、私は3割を金で保有することを勧めており、ガンドラック氏のほうが配分比率は低い。ガンドラック氏は、市場環境の変化がこうした配分を正当化するとしている。ガンドラック氏は、「それほど結末に潜在的なテール・リスクが存在し、かけ離れた結末があり得る。したがって、このバーベル型の資産配分の考えが必要なのである」としている。

ガンドラック氏は、リスク資産がさらに上がる可能性を否定しているわけではない。したがって、株式ポートフォリオをゼロにしたり、ショートしたりまですることは奨めていない。一方で、株価が大きく下げたり、インフレが昂進する可能性も否定していない。そのため、株式の比率を抑え、金を入れることにしたのであろう。株式が少ないのだから、ガンドラック氏の市場見通しはやはりベアということになる。

ガンドラック氏は、自身が進める資産配分の趣旨について、「このトレードは次の買い場でのトレードを待つためのものである。いま、私はとても低いリスクしかとっていない」としている。この発言は、投資家が強気一辺倒ではないことを窺わせるものであろう。ただし、注意したいのは、市場にベアな見方をする場合も、リスク資産へのエクスポージャーをゼロにはしていない点である。

市場の先行きが心配として、株式のエクスポージャーをゼロにしてしまうのは、悲観的な見方をする投資家の悪い癖である。特に日本の投資家にそのような傾向があるように感じられる。肝に銘じておきたい。

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本記事は『江守哲の「投資の哲人」〜ヘッジファンド投資戦略のすべて』2020年10月19日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方は、バックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した米国市場日本市場為替、原油各市場の詳細な分析もすぐ読めます。

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image by:Evan El-Amin | Ron Adar / Shutterstock.com
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江守哲の「投資の哲人」〜ヘッジファンド投資戦略のすべて』(2020年10月19日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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株式・為替・コモディティなどの独自の市場分析を踏まえ、常識・定説とは異なる投資戦略の考え方を読者と共有したいと思います。グローバル投資家やヘッジファンドの投資戦略の構築プロセスなどについてもお話します。さらに商社出身でコモディティの現物取引にも従事していた経験や、幅広い人脈から、面白いネタや裏話もご披露します。またマーケット関連だけでなく、野球を中心にスポーツネタやマーケットと野球・スポーツの共通性などについても触れてみたいと思います。

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