報道されない致死率の大幅な低下
このように、パンデミックの拡大が続くなか、あまり日本では報道されていない傾向がある。それは、新型コロナウイルスの致死率の大幅な低下という傾向だ。以下が日本を始めとした主要国の致死率の推移である。9月、10月、11月前半、11月後半の数値だ。
日本
致死率:1.90% → 1.75% → 1.65% → 1.50%
アメリカ
致死率:2.89% → 2.54% → 2.26% → 2.06%
イギリス
致死率:10.06% → 4.75% → 3.89% → 3.62%
フランス
致死率:6.34% → 2.81% → 2.28% → 2.30%
スペイン
致死率:4.42% → 3.07% → 2.80% → 2.73%
イタリア
致死率:13.4% → 6.18% → 3.99% → 3.52%
ドイツ
致死率:3.95% → 2.08% → 1.62% → 1.54%
これを見て分かるが、どの国でも急速に致死率が低下している。これは新型コロナウイルスの急速な拡大が報じられるなかで、見過ごされている点である。
ちなみに5月の日本の致死率が5.0%を越ていることも考えると、4分の1近くまで致死率は低下している。この低下のペースが続くと、来年早々にも日本の致死率は1%を割り込み、0.8%とか0.7%程度の水準になる可能性もある。
ちなみに、以下がインフルエンザをはじめとした感染症の致死率だ。これは感染者総数に対する死亡者数の割合だ。
・インフルエンザ:0.1%
・SARS:3.6%
・MERS:36%
・スペイン風邪(日本):1.63%
これを見ると、来年にも期待できそうな1.0%を切る日本の致死率は、インフルエンザよりもかなり高いものの、他の感染症と比べるとかなり低いことが分かる。
まだ予想できる段階ではないかもしれないが、現在の致死率の低下ペースが継続すると、2021年の後半には、新型コロナウイルスは、インフルエンザよりも少し高い致死率になっているかもしれない。ましてや開発されたワクチンの投与もあるので、致死率はさらに下がる可能性もある。
一方、いまは感染者数の急速な増加に伴い入院患者数は増えている。その結果、地域によっては医療崩壊を懸念される事態にもなっている。しかし、致死率は低下しているので、死亡する人間の割合は確実に下がっているのだ。
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