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報道されぬコロナ致死率の大幅低下。それでもまったく油断できない理由=高島康司

致死率低下の理由

では、致死率低下の原因は何であろうか?専門家の間でも結論は出ていないが、以下の3つの原因が指摘されている。

1. 治療方法の発展
2. 集団免疫
3. ウイルスの弱毒化

まず(1)だが、軽症には「アビガン」、中等症には「レムデシビル」、重症には「アクテムラ」、それでも回復しないときは「ECMO」というように、新型コロナウイルスの治療方法が発展し、医療機関が対応可能になっていることだ。。また(2)だが、新型コロナウイルスの感染者が増えることによって、このウイルスに抗体を持つ人口が増える。それによって致死率の低下が起こっているとする見方だ。

しかしながら、(1)と(2)には否定的な見解も多い。まず(1)だが、致死率の低下は医療アクセスが必ずしもよくない発展途上国でも起こっている。致死率の低下は、質の高い医療が提供されている先進国だけの現象ではない。とすると、治療方法の発展だけでは致死率の世界的な低下は説明できない。

また、(2)の集団免疫も致死率低下の説明としては弱い。集団免疫が成立し、大多数の国民が抗体を持つためには、国民の約60%が感染していなければならない。世界でもっとも感染者数の多いアメリカでも、感染者は人口のわずか0.3%程度しかない。集団免疫が成立する水準とはほど遠い。他の国々でも似たような状況だ。集団免疫ができる状態ではない。

このように見ると、致死率の世界的な低下の原因は、やはり新型コロナウイルスの弱毒化かもしれない。これは専門家の間でも見解が分れているので、一概にはいえないものの、その可能性はあるように思う。つまり新型コロナウイルスは、弱毒化して宿主である人間を生かすことにより、勢力を維持する方向に向かっているということだ。言い換えれば、新型コロナウイルスは人類と共存しつつあるといってもよい。

新型コロナウイルスの季節性感冒化

このような状況を見ると、パンデミックが始まった今年の3月にアメリカではトップクラスの免疫学者、ハーバード大学のマーク・リップスティッチ教授の予測を思い出す。当時教授は、「CBSニュース」や、保守系の著名な外交雑誌、「アトランティック」が掲載したインタビューなどで、今後の予測を提示していた。

それによると、これからも新型コロナウイルスの蔓延は終息することはなく、最終的には世界人口のおおよそ40%から70%が感染してもおかしくない状況になるとした。そして、致死率は約1%程度になるだろうとして、死亡者は数千万人に達してもおかしくないとした。

この予測はウイルス感染を予測し、評価する数学モデルに基づいている。こうした予測結果になった根拠は、新型コロナウイルスの季節性感冒化にある。新型コロナウイルスは、インフルエンザのように、毎年季節的に蔓延を繰り返す流行性感冒になるはずだという。つまり、これまでのような毎年繰り返すインフルエンザやカゼの季節とともに、新型コロナウイルスの季節が加わるということだ。

他方リップスティッチ教授は、新型コロナウイルスの毒性は比較的に弱く、インフルエンザと同じく14%程度の感染者には症状がまったく出ないか、または鼻カゼ程度の症状で終わる可能性も示唆しており、さほど恐れるべきではないともしている。

Next: 世界人口の40%から70%が感染?2021年の傾向と予測

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