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子供部屋おじさんを揶揄する報道に批判殺到。背後に男性差別と◯◯業界への忖度?

SNSのトレンドワードに「子供部屋おじさん」なる言葉が突如ラインクインし、各所で様々な議論が巻き起こるなど、広く注目を集めている。

きっかけとなったのは、2日に放映されたテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」。そこで「子供部屋おじさん」の特集が組まれ、実例として70代の両親と同居するとある40代男性が紹介された。

その男性の部屋は、スーパーファミコンやビックリマンシール、そしてプラモデルなどが置かれるなど、20~30年はそのままといった、まさに子供部屋然とした雰囲気。男性はリモートでゲーム制作の仕事に携わっているとのことで、両親との関係は良好。今後結婚を機に家を出る考えはないという。

最近では「8050問題」がよく取沙汰されるように、ニートや引きこもりの高齢化が社会的な課題とされているが、今回取り上げられた男性はすべからく職に就き、標準的あるいはそれ以上の収入を得ている方も。社会との繋がりがあるうえに家族仲も良好ということで、どう見てもニートや引きこもりのように問題視されるような存在では無いように思われる。

にもかかわらず、今回あえて「子供部屋おじさん」という言葉や事象がもっともらしく取り上げられたことに、ネット上では多くの反発の声が。言葉そのものへの嫌悪感もさることながら、ワーキングプアや引きこもり予備軍を侮蔑するネットスラングという意味合いでの「子供部屋おじさん」と、単なる実家住みの独身貴族である「子供部屋おじさん」が、十把一絡げで取り上げられたことに対して違和感を覚えたという方も多いようだ

不動産・保険業界が意図的に流布した説も

ここ数年でネット上においてかなり定着した感のある「子供部屋おじさん」というワード。「子供部屋」「おじさん」という相反する語の組み合わせのなかに、ありったけの侮蔑が込められた、ある意味で天才的ともいえるネーミングなのだが、そのルーツはSNSではなく某匿名掲示板にあるという。

世界的に著名な格闘ゲームプレイヤーで、ネット上ではウメハラと呼ばれ親しまれている梅原大吾氏。そんな彼の人となりがフジテレビ系「めざましテレビ」にて紹介された際に、部屋の様子も映され、それに対して掲示板住民が「子供部屋wwww」とバカにし、さらにそのカキコミに対して「おまえも子供部屋おじさんだろ」といった趣旨で煽ったのが、どうやら発端の模様。ちなみに一連のカキコミは2014年2月1日とあり、6年前にはすでに存在していたようだ。

そんな某匿名掲示板の片隅で生まれたワードが、どのようにしてテレビでも取り上げられるほどの知名度を得るようになったのか。ネット上の一部で噂されているのが、不動産業界・保険業界が意図的に拡散させたという説だ。

その論拠のひとつとされているのが、2019年10月7日に公開された「90万人割れ、出生率減少を加速させる「子ども部屋おじさん」」という、日経ビジネスの記事だ。その文中には、ニッセイ基礎研究所の天野馨南子准主任研究員なる人物が識者として登場するのだが、彼女は昨今の未婚率の上昇は20~40代の独身男女の6~7割が親や親族と同居していることにも理由があるとし、その流れで「男性の方が数が多いこともあって、天野氏はこうした現象を「子ども部屋おじさん」と呼んでいる。」とある。

ちなみにニッセイ基礎研究所とは、文字通り日本生命のシンクタンクで、会社概要を見ると金融・経済から年金・介護等の社会保障問題や住宅・都市問題まで、抱えるテーマは多岐に渡る模様。このこともあって、もともと存在していた「子供部屋おじさん」というネットスラングを、働いてはいるが独身で実家住みといった“不動産・保険業界に金を落とさない層”まで対象を含める形で流布させ、如何にも困った存在だとレッテルを貼ろうとしているのでは……そう憶測する向きは結構多いようだ。

イジメの構図?テレビ局の報道姿勢を問う声も

このように破壊力だけは抜群の「子供部屋おじさん」という言葉だけに、ネット上では様々な反応があり、なかには「田舎の長男なら実家暮らしは当たり前」といった声もあがる。

しかし、やはり反応として最も多いのは「男性差別じゃないのか」という声。なかでも「女性なら家事手伝いで通るのに、なぜ男性は子供部屋おじさん呼ばわりされるのか」という素朴な疑問を持つ人は結構多い。

また、「この手の対象が女性だったら大騒ぎだろう」という、女性差別に対しては最大限気を遣うが、男性なら叩いてもOKといった風潮を疑問視する意見も。

いっぽうで、「子供部屋おじさん」という声の大きくない対象を掲げ、それをイジるという構図がもはやイジメ的であるとし、そのような取り上げ方をするテレビ局を批判する声も多くあがった。

今回、テレビ朝日が「子供部屋おじさん」を取り上げたのは、単に刺激的なワードで注目を集めたかったからか、あるいは特定の業界の意向をくみ取ってのものだったのか。どのような意図があったのかは不明だが、結果としてその報道姿勢に多くの疑念の目が向けられることになったのは間違いなさそうだ。

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