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米国株の調整は必ずやってくる。2020年最後の押し目買い好機を逃すな=江守哲

S&P500の市場予想

リフィニティブによると、アナリストは今年のS&P500構成企業の利益が新型コロナ禍で15%超減少するが、来年は23%増加に転じると見込んでいる。向こう4四半期の利益に基づくPERは現在23倍である。今年6月に記録した約20年ぶりの高倍率の25倍からわずかに下げたが、依然として高水準である。

リフィニティブのデータによると長期平均は約15倍で、現在はこれを大きく上回る。企業利益面の裏付けは弱いにもかかわらず、米国株は今年3月以降に急上昇し、PERも大きく上昇している。実際、全米での新型コロナの感染再確認や、来年の企業利益見通しの若干の低下にもかかわらず、米国株は上昇している。リフィニティブのデータによると、S&P500企業の来年の利益予想は11月27日時点で22.5%増と、10月1日時点の28%増から弱まっている。

リフィニティブのデータに基づいてS&P500企業全体の97%を分析したところ、第3四半期はわずか6.5%の減益となり、10月1日時点の予想21%減から大きく改善した。第4四半期の見通しは11%減益で、10月1日時点の13.6%減から上方修正されている。

ただし、新型コロナワクチンの本格接種のタイミングに左右される面も大きいだろう。どれだけ企業活動が素早く正常化するかが、これにかかっている。来年に最も利益が前年比で伸びるセクターは景気敏感株とみられている。リフィニティブのデータによると、増益率はエネルギーが600%近く、工業が79%と予想されている。

また、米大統領選で勝利したバイデン氏の政策が市場寄りになるかを投資家は見極めようとしている。バイデン氏は増税の可能性を示しており、そうなれば企業利益の伸びは抑制されるかもしれない。

ロイターが25日公表した調査によると、ストラテジストの大半は1年以内に企業利益がコロナ前に戻ると予想したが、増税になれば回復にもっと時間がかかるとの見方もある。

ロイターの11月「国際分散投資」調査の結果

ロイターが実施した11月の国際分散投資調査では、株式の推奨比率が大幅上昇に転じ、2月以来の高水準となった。過半数の回答者が、強気の株式相場は6カ月以上続くとの見方を示した。

10月の下げ相場から一転、11月には世界中の株式市場が高値を更新。MSCI世界株指数は13%近く上昇し、これまでで最も大幅な上昇率を記録する基調にある。新型コロナウイルスワクチン開発への期待感やドル安、低金利による資本市場への資金流入予想が背景にある。

こうした株高基調を受け、日本、欧州、英国、米国のファンドマネージャーや最高投資責任者(CIO)33人を対象に11月12─30日に実施した調査では、株式推奨比率が劇的に上昇。他の資産の推奨比率はおしなべて低下した。

グローバル・バランス・モデル・ポートフォリオの株式推奨比率は平均46.7%となり、10月の41.4%から5%ポイント超上昇。前月比の上昇幅は統計開始以来10年間で最大となった。

債券推奨比率は平均42.1%となり、10月の45.5%から低下。2月以来の低水準となった。現金や不動産、オルタナティブ投資も低下した。こうした動きからは、ファンドマネージャーらが慎重なアプローチから脱却し始めたことが見て取れる。追加質問に回答した19人のファンドマネージャーらによると、株式への推奨は最近の新型コロナワクチン開発の進展に基づくものであり、回答者の約80%が株高は少なくとも6カ月は継続するとの見通しを示した。

企業収益に関しては、株式ストラテジストが年内にはコロナ感染拡大前の水準に戻るとの見方を示す一方、ファンドマネージャー19人の約60%は、平常復帰に少なくとも1年かかると予想している。

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