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米国株の調整は必ずやってくる。2020年最後の押し目買い好機を逃すな=江守哲

米国株の長期サイクルを再確認

米国株の長期的なサイクルを確認しておきたい。これは今後の株式投資を実行していく上で、きわめて重要なポイントであり、もっとも理解しておくべきポイントであると考えている。

このような大局的な視点を持つことで、目先の値動きに振り回されずに済むだろう。

米国株にはおおむね33年から34年の上昇サイクルがある。世界恐慌後の1932年から1966年の34年間、1974年から2007年の33年間(2008年としてもよい、その場合には34年間)、そして今回の2009年以降である。

33年間上昇すれば2042年、34年間上昇すれば2043年までの上昇になる。このころは、インドが人口動態から経済拡大がピークを付けるタイミングであるといえる。34年のサイクルでは、17年のサイクルを2回に分けて考える必要がある。

過去の米国株の上昇サイクルは、17年間で構成されている。これを2回やると大きな上昇相場になる。いまはその17年サイクルの1回目である。これは2009年後の2026年ごろに終わることになる。もしかすると、もう少し早くなる可能性もある。

ここは、後述するように、金相場が2026年から27年にピークをつけることになるため、1回目の株価のピーク後の調整時に金相場がピークをつけに行くことになる。金相場はここでピークアウトする。

その後、株価が調整を経て34年サイクルの後半に当たる2回目の上昇サイクルに入り、2043年までの上昇することになる。このような大局的な値動きのパターンを頭に入れておけば、何も慌てることはない。下げが来れば買えばよいとの判断になることは自明である。それが、私が毎回繰り返し紹介している「長期ポートフォリオ戦略」である。

大きく下げた時に買わないと、株式投資は収益が出ない。それも大きな下げである。そして、資産を積み上げていくのである。今回のコロナ・ショックもそうであり、その前のリーマン・ショックもそうである。いずれ近いうちに小さな調整は来るだろう。そのような下げも利用しながら対処するのである。

そのためには、現金が必要である。だからこそ、「現金を常に金融資産の3割を保有せよ」と言っているわけである。現金さえ保有しておけば、最後は助かる。そして、株が上がりすぎになれば、その一部を売却して現金化しておくのである。そうすれば、余裕をもって対処できるはずである。

米国株は常に上昇すると言っている向きもいるが、それは長期的には正しいが、そこにはポートフォリオ戦略が不可欠である。強気しか言わないのは、それは不親切であり、暴論であろう。

ヘッジファンドで自分の資金を入れていないファンドマネージャーの無責任な発言にも要注意である。

日本株の投資戦略の考え方

日経平均先物は夜間取引で上昇しており、堅調さを維持している。米国株がなかなか下げず、日本株も調整の機会を失っているように見える。とはいえ、2万7,000円も超えられず、高値を買う動きもない。下げれば買いたい投資家は多いようだが、上値を買い上げる動きはすでに一巡した感がある(※編注:原稿執筆時点2020年12月7日)。

空売り筋の買い戻し余地はあるのだろうが、下げを待っている状態である可能性もある。そうであれば、2万7,000円を超えると一気に買い戻しが入り、500円程度の急伸になる可能性もある。そのあたりも念頭に置きつつ、調整があるのかを見極めたいところである。

いまの株価は、株価指標では説明できない。だからこそ、投資家の一部が空売りをして担がれているともいえる。しかし、買い戻しが終われば下げるのが相場の常である。

一方、今回の強気相場に見える動きを理由に、「今回は違う」「日本株は歴史的上昇に入った」との声も聞かれる。そうかもしれないが、それは今の段階で言い切り、結果として当たっても別段褒められるものではない。

これまで株価が低迷しすぎていただけである。日本株はおかしな構造になっており、挙句の果てに日銀が株価を支えることにした。不思議な市場だが、日銀が買い支えているからこそ下げない、上げていく相場になっている点は否定できない。

この点を理解しておけば、日本株は下げにくくなっていることだけは確かである。これに逆らっても仕方がない。かといって、これが日本株の持続的な上昇の理由にはならないだろう。

Next: 日本株「本格上昇」の条件は?

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